大学病院に勤務している皆様で、辞めようかどうかと悩んでいる人はいませんか?

一般的に1,000床以上あるような大規模な病院が主流となっており、それゆえの特有な問題や悩みポイントがあると思います。

私も長年大学病院に勤務していましたが、いろいろ考えた結果、転職をすることにしました。

そんな私の経験も含め、転職先のアドバイスができればと思います。

お悩み別おススメの転職先

それでは実際に、大学病院ならではの主なお悩みを中心に見ていきましょう。

古い体制が原因で辞めたいなら中規模病院がおススメ

これは、看護師さんだけではなく、他の職種にもだいたい当てはまる問題だと思います。

大学病院は大規模な組織であることから、組織の体制も階級や、地位が重要視される傾向にあります。

ドラマなどでも、教授の回診シーンなどが放映されますが、誇張しているとはいえ、遠からずという印象を受けますよね?

それは医師以外でも、看護部の派閥や、部署ごとの軋轢など、様々な問題を生みます。

また、規則が多いことも特徴で、自由度が少ないのが現状です。

決められたことを、正確にこなすだけのような業務、例えば何かを生産するラインなどに従事している場合には、安全を確保する上でも自由度が少ないことは大切でしょう。

しかし、医療の現場の場合には、常に優先順位を自分で判断し、臨機応変に動かなければ成り立ちません。

そのような時に、規則でがんじがらめになっている状態では、一番良いパフォーマンスをとることはできません。

具体的に、分かりやすいシンプルな例を挙げてみましょう。

たとえば、あなたが夜勤勤務中だとします。

当直の医師も仮眠をとっている夜中に、受け持ちの患者さんから眠れないという訴えがあったとします。

以前にも同様の指示があり、眠剤を提供した経緯がありましたが、今回はそのような指示は出ていません。

病状も大きな変わりはなく、同じ対応で問題ないと、明らかに分かっていたとします。

しかし、病院のルールでは、当直の医師を起こして、念のため確認する必要があるという規則になっていた場合、答えをわかっていながら、電話をかけ、医師を起こし、確認しなくてはいけないということになります。

もちろん、看護師が正確に判断できるとは限らないので、医師への確認は重要であることは言うまでもないのですが、どう考えても分かり切っている対応策を、いちいち確認しなくてはいけないという場面に遭遇したことはありませんか?

当然医師も、そんなことでいちいち電話で起こされることに苛立ちを覚えるものの、規則なので仕方ないと対応をします。

これは、看護師も医師もどちらも幸せではないですよね。

このように、規則がやたらと細かく設定されているが故の、働きづらさが発生して、ストレスに感じる人は多いと思います。

そういったことに悩んでいる人は、ぜひ、規模の小さい病院へ転職することをおススメします。

300床程度の規模の病院であれば、組織もそこまで大きいこともなく、ある程度の自由が認められていることが多いです。

また、たとえ規則があっても、現場感にそぐわないとなった場合には、比較的簡単に見直しができる体制であることが多いので、こういったことに悩まされる回数はぐんと減ると思います。

また、教授の意向がどうのこうのなど、面倒な他の職種との問題も避けることができますよ。

人の入れ替わりが激しいことが原因で辞めたいなら小規模病院がおススメ

これも大規模な大学病院では避けられない問題かもしれませんが、看護師さんは特に入れ替わりが多くありませんか?

特に、新人さんが多く採用されることからも、長く勤務している人へのしわ寄せがとても大きくなります。

あなたがもし、その長く勤務している側だとすると、業務を一から教えて、せっかく育ててきたのに、辞めてしまうということになれば、気持ち的にも、労力的にも疲労を感じますよね。

人の入れ替わりが多いことは、新し風を取り入れて、おかしな習慣などを見直す良いきっかけになるという意味ではメリットですが、育てた人材が流出し、定着しないという意味では、大きな問題でもあります。

そういったしわ寄せをできる限り受けないようにするためには、かなり小さな規模の病院へ転職することです。

それも、年配の看護師さんが多く働くような職場を選択することです。

そのような看護師さんが多い職場は、福利厚生が整っていることも多く、人が定着している職場のサインの一つと言えます。

転職活動をする際に、目安として気にしてみてください。

給与が安いことが原因で辞めたいなら、クリニックがおススメ

給与は、その大学病院によって大きく差があると思いませんか?

当然夜勤の回数などでも、収入は変わってきますが、周囲の職場の給与と比較すると、意外と少ないと感じるかもしれません。

友人は、あるクリニックに勤務していました。

勤務時間は私の半分で、さらに夜勤もなしという状態であるにも関わらず、なんと同じ額の給与だと知った時には、本当に愕然としました。

その友人曰く、大学病院の給与は、中小規模やクリニックに比べ低いとのことでした。

確かに、看護師だけでなく医師の給与なども、とても低いため、副業としてバイトをしている現状をよく知っていますし、驚くことではないのかもしれませんが、あれだけがむしゃらに働いているのに、より安楽な職場と給与が同じということに、ショックを受けました。

そして、世の中を知らなかった自分を後悔しました。

クリニックは働き方を選択できる上、そこまで激務でないのに、十分な給与をもらえることがほとんどです。

最前線の医療を行うという意味では、満足感が得にくいかもしれませんが、金銭面でいえば納得できるのではないでしょうか。

大学病院で培った経験やスキルを活かせる転職先

上記のような問題で辞めたいと悩んでいなくても、今のスキルをさらに活かせる職場への転職を考えたことはありますか?

大学病院は、多職種とのチームワークや連携に関するスキルを自然と身に付けることができる職場です。

そのため、周りとのコミュニケーションが上手く取れるようになることも多いです。

例えば、救命センターなどの高度なコミュニケーション能力が問われるような職場に行けば、きっと重宝され、あなたの能力を活かせるのではないでしょうか。

他にも、学術的な役割を担っている大学病院だからこそ、最新の医療機器や、医療技術に触れる機会も、一般の病院に比べて圧倒的に多いはずです。

その知識や経験を活かして、看護大学の教員などをすれば、生の経験を教えてくれる教員として、生徒や教員の仲間に一目置かれるのではないでしょうか。

実際に私の上司は、大学病院を10年ほど勤務した後に、母校の教員になっていました。

その上司は、「大学病院の新人さんを教育してきたが、人の入れ替わりも激しいし、そもそも学生の頃から根本的な生きた学習が必要だとわかった」と感じたそうです。

このように、経験から見えてくるものもあるので、スキルを活かした転職もあっていいのではないでしょうか。

まとめ

大学病院に勤務している皆さんは、日々忙しい毎日に翻弄されがちで、ゆっくりと転職先を考える時間もないかもしれません。

実際に私もそうだったので、良く分かります。

しかし、現実を見ないようにすればするほど、つらい気持ちが突然大きくなって抑えきれなくなってしまい、あまり熟慮しないまま退職してしまいました。

皆さんにはゆっくり良い条件の転職先を考えてほしいので、今からいろいろな視点で探してみることをおススメします。

楽しく看護師を続けられますように!