看護師になるために、学生時代は勉強も実習も国家試験対策も頑張ってきたことでしょう。

努力の結果、「憧れの看護師」となった新人看護師の皆さん、理想と現実のギャップに戸惑っていませんか?

過去に入院経験のある方は特に、「あの時担当してくれた看護師さんみたいに自分もなる!!」と考えていたでしょう。

しかし、実際はあこがれの看護師さんになれるどころか、先輩看護師や患者さんから注意を受けることが多く、「看護師なんてやめてやる!」と考えている方はいませんか?

理想と現実のギャップに悩む新人看護師は多いです。

なぜギャップを感じるのか、どうすれば不安を解消できるのか見ていきましょう。

リアリティショックと退職率

理想と現実のギャップを見る前に、まずは「リアリティショック」という言葉を紹介します。

Kramerはリアリティショックを「新卒の専門職者が、卒業後の現場での実践準備をしたにもかかわらず、実際に職場で仕事を始めると予期せぬ苦痛や不快さを伴う現実に出くわし、身体、心理、社会的にさまざまショック症状を引き起こす現象のこと」と定義しています。

出典:新卒看護師のリアリティショックの構造と教育プログラムの在り方 2ページ目

皆さんは看護師として働くまでに、様々な努力をしましたよね。

しかし、看護師として病院勤務が始まると、思っていた以上にきつい仕事と実感したのではないでしょうか。

学生時代とは異なり重症の患者さんを受け持ちますし、時間通りに帰宅することもできません。スムーズにコミュニケーションをとることのできない患者さんもいますし、セクハラをしてくる患者さんとも接していかなければなりません。

一般的に、看護師といえば「白衣の天使」というイメージです。

しかし、実際の看護師の仕事は「9K(きつい・危険・過酷・汚い・給料安い・休暇なし・帰れない・婚期逃す・化粧が乗らない)」です。イメージとは全然違いますよね。

2016年度に行われた調査によると、新卒看護師の離職率は7.8%ということがわかりました。

出典:2016年 病院看護実態調査 報告書 1ページ目

もちろん、家庭の事情や体調などが理由で退職をした人もいるでしょう。

しかし、理想と現実のギャップであるリアリティショックが原因で退職を選択する新人看護師も多いのが事実です。

新人看護師が直面する理想と現実のギャップ

皆さんが理想と現実にギャップを感じるのはどのような時ですか?

多くの新人看護師がギャップを感じる理想と現実の例についてみてみましょう。

あなたが当てはまるものはありますか?

理想:どんなケアや処置もスムーズにこなす看護師♪
現実:自分一人でできるケアが何一つない…
理想:素晴らしい看護部の理念の病院に就職できた!
現実:看護部の理念とは正反対の看護師だらけ
理想:毎日笑顔で患者さんと接する優しい自分♪
現実:忙しすぎて、ナースコールにイライラする
理想:仕事もプライベートも両立して、人生を楽しむ!
現実:休みの日は勉強会の資料作りと自己学習があるから休めない
理想:学生時代はクラスでトップの成績だったから、看護師になっても大丈夫♪
現実:学生時代の知識だけでは全く足りず、毎日遅くまで自己学習

新人看護師がギャップによる不安を解消するには?

理想と現実のギャップを感じ、今後の看護師人生に不安を感じている新人看護師はたくさんいます。

最初にも紹介しましたが、ギャップのために退職をしてしまう人もいるほどです。

せっかく看護師になることができたので、できるだけ看護師を続けていきたいですよね。ギャップによる不安を解消するには、どうすればいいのか紹介します。

目標を高く設定しすぎない

多くの新人看護師は、「このくらいの仕事は、自分一人でこなさなければいけない」と考え、悩みがちです。

もちろん、自分一人でこなすことは理想的でしょう。

しかし、最初はできなくて当然です。一人で悩んでしまうよりは、「まだ自分一人でできなくてもいいや」くらいの、軽い気持ちを持つようにしましょう。

理想より少し低めの目標を設定することで、目標をクリアしやすくなります。

目標をクリアしていくことで看護師としての自信がつき、理想的な看護師像に近づくことができるようになるでしょう。

努力できることは努力をする

「学生時代にあれだけ頑張ったのだから、看護師になっても安心」と感じている新人看護師は多いです。私自身、そう感じていました。

しかし、実際は学生時代に教科書から学んだことだけでは、患者さんに適した看護を提供することはできません。また、校内実習で看護技術もたくさん学んだのに、物品も手順も何もかもが違います。

安心して看護師にあることができると思っていたのに、実際には何にもできないという状況となりますので、「現実と理想のギャップが大きく、看護師として働くことに不安しかない」という考えになってしまうでしょう。

しかし、そこであきらめてはいけません。

自分で努力できることは努力をしましょう。あきらめてしまうと、理想とは程遠い自分で終わってしまいます。

努力をすれば、少しずつかもしれませんが理想と現実のギャップを埋めることができるでしょう。

職場に問題があるなら、思い切って転職する

勤務をしている病院によっては、周りの看護師や医師にやる気を感じることができないという場合もあるでしょう。

そのような環境であなただけが理想に近づこうと思って努力をしていても、決して理想通りの働き方はできないでしょう。

誰も新人看護師の意見なんか聞きませんし、あなた自身先輩看護師に「もっとこうしたほうがいいのではないですか?」など、意見することはできませんよね。

ほかのスタッフのやる気を感じることができず、自分が理想とする働き方ができないと感じるのであれば、転職をしてみましょう。

やる気のあるスタッフが多い職場で勤務をすることで、あなた自信が理想としている看護師像に当てはまる先輩看護師がいるでしょう。理想と現実のギャップが少なくなりますよ。

最後に

理想と現実のギャップに不安を感じている新人看護師はあなただけではありません。

ほかにもたくさんいますし、今はテキパキと患者さんに寄り添った看護を提供しているベテラン看護師も、新人看護師時代にはギャップに不安を感じていたはずです。

「自分だけ…」と考えていると、最終的には身体的にも精神的にも疲れてしまう原因となります。

できるだけ理想と現実のギャップを解消していけるよう、目標をあまり高く設定せずに、努力できることは努力をしてみてください。

また、自分一人が頑張ってもどうすることもできないと感じるのであれば、転職も検討してみてくださいね。