都道府県の設置する保健所、市町村が設置した保健センターなどで働き、保健師としての知識・技術を活かし公務員として地域のために働くのが行政保健師です。また、市役所や老健・児童相談所などでも公務員として保健師を採用しています。

看護師が公的病院に採用されれば公務員となるのとは違い、行政保健師になるためには公務員試験を受験し合格しなければなりません。公務員試験の中では合格率が高い方で、きちんと勉強して試験に望めば問題はありません。

行政保健師の仕事内容の違い

保健所の保健師

都道府県に採用された場合、健やかな暮らしを守るための対策を考案すること、冬になったらインフルエンザの対策などその都道府県民の健康増進、安全な暮らしなどをサポートするのが仕事です。

都道府県の感染症対策として、それまで日本では罹患者・発症者がいなかった新しい病気が都道府県内で発生した時に、素早く対応できるよう予め対応策を検討し・作成しておきます。また、新型インフルエンザが近隣の都道府県で流行り始めたら、予防接種や保健指導、健康指導を行い、都道府県内での流行を未然に防ぐのも保健所の保健師の仕事です。

保健所では、C型肝炎・HIVなど感染症に関する検査を無料で行っており、保健師が採血を行う必要もあります。また、検査のみではなく健康教育など教育に関わる必要もあります。

加えて、都道府県内の人口統計を取り人口の変動について調べ、これから将来どんな問題点が出てくるのが予測する仕事があります。高齢者の増加、少子化と言った問題がどれくらいの期間で起こるのか、実際に都道府県民の生活に支障が出る前に対策を練り、多彩な角度から都道府県民の保険、福祉、医療について検討し、対策を打ち出していくのが役割です。

保健センターの保健師

市町村に採用された場合は、都道府県で採用される場合よりもより地域密着型の仕事内容になります。都道府県に採用されると、その都道府県全体のことを考えて対策を練るが、もう少し細かく市町村単位で考えてみると、地域や住民が抱えている問題は市町村毎で異っているのが現状です。そのため、その市町村で問題となっている項目について、健康増進・介護予防・子育て支援などの観点から様々な情報を提供したり、講座を開いたりする必要があります。

具体例を挙げると、突然死の危険性が高い高齢者の自宅訪問、地域住民への健康相談会を開催したり、障害者への心身のケアを行ったりと言った内容です。

都道府県の保健師と仕事内容は変わりはありませんが、住民と接する機会が多く、住民の健やかな暮らしを守り、現在と将来の問題点を見つけ出して対策を練るという面が、少し異なってきます。

また、少子化対策の一環としては、乳児健診や母親教室などその地域に生まれるお子さんとその親御さんの健康、これからの成長への相談と指導が仕事内容に入ります。近くにママ友がいない母親も多くいるため、保健センターを開放して同じ子育てをする母親と情報を共有・交換する場を設けたり、より柔軟な対応策を立案するのが役割です。

地域包括支援センターの保健師

市町村に設置されていて、ケアマネージャー・社会福祉士と共に協力して仕事をします。

介護予防マネジメント業務が主な仕事で、要支援・要介護と認定された人へのマネジメント、および要支援・要介護になりそうな人への介護予防が仕事です。市役所に採用された場合は、大まかに母子への対応と大人への対応とに分かれます。

母子への対応は母子手帳の交付、乳幼児健康診査、健康教育、健康相談、家庭訪問などです。母子以外の大人相手の仕事だと、健康手帳の交付、健康教室、健康相談などが仕事になります。

老人保健施設の保健師

老人保健施設(老健)では、保健師の裁量権が大きく与えられ、同僚の看護師と共に健康管理について切り盛りしていきます。仕事内容は、施設の利用者ひとりひとりについて目を配り、施設全体での健康管理はどうすべきか、どのような方向性で健康管理すべきかを検討します。同僚の看護師はもちろんのこと、利用者の家族との連携も大切な仕事です。