初めに関わっていた患者さんとご家族との交流の中で、私は「いつでも何かお役に立てることがあれば、連絡をくださいね」と声をかけていました。

しかし、後々に信頼関係が築けた頃、ご家族から「渡米して数か月の慣れるまでの間、自分たちが何を分かっていて、何が分からないのか全く整理がついていなかった。慣れない環境の中で、目まぐるしく状況が変化する日々についていくのがやっとだった」と話されました。

私も初めてのボランティアで手探り状態だったので、患者さんやご家族の本音を聞くことができて良かったと思うと同時に、もっと些細なことでできることがあったのではないかと再認識しました。

この頃、患者さんは治療の大部分が終わり退院して帰国に備えて自宅療養されている時期だったので、やっと渡米から今までの過程を振り返られる段階にあったのだと思いました。

海外で長期的に治療を受けることの大変さ、言葉の壁や、治療方針や看護ケアの日本との違いなど様々なストレスがあったのだと改めて気づかされました。

例えば、電球がどこで買えるのか、院外処方の薬はどうやって買うのかなど、日本でずっと生活していたら何も考えなくてもできたことが、ここでは何もわからないという状況におかれます。気軽に聞ける人が身近にいない、英語がわからないからお店の人にも聞けないなど、不安だらけだったと思います。

私も渡米した当初はそうでしたが、患者さん・ご家族は一番に治療が優先ですので、自分たちの生活環境を整えることは二の次三の次でした。

日本でもそうですが、長期入院で患者と家族が共倒れするケースは多々あり、更に海外の過酷な状況での生活により、ご家族が倒れないかと冷や冷やする瞬間もありました。

もし、そうなってしまうと立て直すには大変なエネルギーが必要です。まして、海外だと代わりに看病してくれる人なんていませんので、ご家族は大きなプレッシャーもあったのだろうと思います。

このような経験によって、今後も少しでも安心した生活がおくれるように配慮したボランティアとしての関わりをしていきたいと思いました。