ICU(集中治療室)というのは、急性機能不全の患者などを24時間体制で管理し、高度な医療設備を使用して医療や看護を提供している臨床現場です。「Intensive Care Unit」を略してICU、日本語では「集中治療室」と呼んでいます。

ICUでは、外科や内科、呼吸、循環など様々な症状の人達の看護に携わることができるだけでなく、専門かつ高度な医療が施されるところで、どのような緊迫した状況であってもフレキシブルに対応できるレベルの高い判断力や知識、スキルを身につけていかなければなりません。

そのため、ICUで働く看護師にかかる責任の重さやプレッシャーは考えられないほど大きく、非常に緊張感が高い仕事や役割を担っています。

ICU看護師の役割

安全と快適さを提供

ICUでは、急性期にある患者さんや重篤な状態にある患者さんが多く、意思疎通やコミュニケーションがとれない患者さんがいますが、それでもICU(集中治療室)で働く看護師の仕事は、安全と快適さを提供することです。

「痛みを感じないから」とか「少し汚れてるけど患者さんは分からないから良いか」と言うことではなく、1人の患者さんに代わりはなく、体動の少ない患者さんが体が痛くないような体位の工夫や、食事は食べられないけれど今日のメニューを話掛けるなどの看護を提供することが大切です。

また、医師の診察の補助だけではなく、ICUでは様々処置や薬剤、点滴の投与などがとても多く、そのうえ患者さんが急変することも日常茶飯事であるため、病状変化による予定外の処置にも慣れておかなければなりません。

ICUでは、チーム医療として様々な職種の医療スタッフが1人の患者さんのケアを集中して行います。スタッフ間の連携はとくに重要で、もし連携が取れていなかったら医療ミスが続出することにもなりかねません。全てのスタッフが、ひとつの医療チームの一員となることが必要で情報に関しては常に共有していかなければICUの仕事はできません。

あらゆる医療機器の知識や操作

この医療機器についての知識はICUで働く看護師としては重要で、ICUで働き始めてからでも何度も何度も説明会や勉強会が開催されるほど必要な知識です。多くの患者さんが生命を維持するために不可欠なものであり、万が一のトラブルにも確実に対応することができるようにしておかなければなりません。

異常の早期発見

大手術の後などは、病状がいつ急変するのか分かりません。そのうえICUでは一度急変すると、一般病棟での急変よりも命を落とす危険性が高い患者さんが多いので、患者さんの体内でどんな変化が起こっているのかを予測する役割を果たすことは異常の早期発見に繋がるため重要な仕事です。

入院患者の家族の対応

ICUでは、思うように様子を見ることさえ出来ない入院患者の家族に対する対応についても看護師の重要な役割です。

突然、家族がICUに収容されたとなったとき、重症であることは理解できたとしても、患者の家族はとても動揺しているのが普通です。動揺している家族の不安を少しでも緩和させる役割を果たすのもICUで働く看護師の役目であるため、家族との何気ない会話などから状態を探り、家族がどのように受け止めているかを探って家族看護することは、とっても大切な役割です。

患者さんの全身管理を行い、患者さんの状態の変化を瞬時に把握して対応し、患者さんの家族にも配慮していくという仕事と役割を果たすICUの看護師は、困難に直面することもありますが、看護師を目指した人達にとってやりがいがある仕事です。