ICU(集中治療室)の看護師になると身に付くスキル

ICU(集中治療室)というところは、看護師としてのスキルを磨くためには欠かすことのできない科です。

ICUには様々な重い症状の患者が運ばれてきます。そのような患者に対して、できるだけ短時間で確実な対処をしなければならず、緊張感を絶やすことは許されない状況の中で仕事をしなければなりません。

常に緊張感がある中で働く仕事はほかにもたくさんありますが、本当にひとつの小さな自分のミスが人の命を左右するという仕事はそんなに多くはありません。このことが、さまざまな分野への対応を可能にして経験を深め、スキルアップしていくことに繋がっていきます。

素早く確実な処置を行う

一定期間ICUで働くことによって、他のどの科に配属されることになったとしても対応できるというのは嘘ではありません。

ICUで働く看護師は、どうしても専門的な知識が必要になってきます。緊急時に素早く確実な処置をおこなうというスキルは、まず必要とされるスキルのひとつです。

集中的に重症の患者や大手術をした直後からの患者のケアを行い、症状の改善を図っていくICUの看護師は、人の命を常に意識した対応が求められます。医者が診断や手術においてミスをしないということは当然ですが、看護師が処置を少しでも間違ってしまうことでも生命の危機に直結するがICUです。

様々な計器を繋げられている患者が多くいるICUは、警報音が常に鳴りっぱなしの現場になることも多々あります。そういう中であっても速やかな処置をしなくてはなりません。とにかく落ち着いて的確な処置を行うことが、ICU看護師には求められます。

そのことは必ず大きなストレスになりますが、看護師としてのやりがいという点ではこれほどのところはないかもしれません。このやりがいのためにICUで働くことを選択する看護師も多いのです。

科を超えた幅広い知識と技術

ICUに勤務する看護師は、科を超えた幅広いスキルが必要です。原則として、ICUではあらゆる科の患者のケアをおこなうのが通常です。命を維持するための状態を把握するために多くの計器が使われ、これらの医療機器の使い方に関しては必ず把握しておかなければなりません。

使われている器具や医療機器の数は他の科に比べると非常に多く、これらの医療機器の使用方法やデータの見方などは必ず身につけなければならないスキルです。ICUに入っている多くの患者は、24時間体制で監視することが必要で常に人工呼吸器などの生命維持に深く関係している医療機器と接している状況です。

このスキルを身につけなければ患者の容態を確認することもできないので、看護師としてICUで働く以上はICU内に設置されている全ての医療機器の使用方法などは必ず理解しておかなければなりません。

家族の心のケア

ICU看護師は、患者のケアだけではなく家族の心のケアを行うことが重要なスキルの一つであり、身につけていかなければなりません。突然の不慮の事故で家族も心構えが出来ていない中で、最初に関わる看護師は救急看護師とICU看護師です。

家族の気持ちを汲み取り、優しい声をかけてあげられるような「家族看護」はとても重要なのです。

関連資格(スキルアップ資格)

ICUの求人情報をみると、看護師資格さえあれば応募可能な求人もあります。ただし、高度医療や救急医療が発展してきていることによって、ICUでは看護職のスペシャリストを育てることも必要です。ICUで働く看護師がスキルアップをするために、認定看護師の資格取得に取り組むというケースが増えてきています。

なお、認定看護師の専門分野は1つだけではなく、救急看護がん化学療法看護緩和ケア皮膚・排泄ケア集中ケアなどがあります。

認定看護師は、看護師としてキャリアアップを考えている看護師や自分自身の知識や技術を高めたい看護師から最近注目されている資格になります。認定看護師の専門分野の中で、集中ケア認定看護師という資格はその対象が家族のケアにまで及びます。的確なアセスメントによって病態の変化をいち早く予測・対応し、重症化を防ぐことができるようにしています。

集中ケア認定看護師の資格を取得することで、ICUで出来る仕事を今まで以上に増やすことは更なるやりがいに繋がります。集中ケア認定看護師の資格のほかに、ICUで働くときに役立つ資格の一例として、BLSやACLS、ICLS、呼吸療法認定士専門看護師があります。このなかでも急性や重症患者看護に対応出来るようになる専門看護師の資格は、ICUで働く看護師としてスキルアップするのに重要な資格です。