小児科の看護師としての業務は、成人との体のつくりが違うため治療法の異なる、0~15歳の患者を診療科目の区別なく看護すること、そして治療や処置の準備など医師の補助が主な仕事です。

小児科には、風邪やアレルギー、喘息や皮膚病など様々な症状を訴える患者が訪れます。そのため、小児に関する幅広い知識を身につけることができます。その中でも、働く職場によって仕事内容が変わるため、身につくスキルが異なってきます。

病棟の小児科で身につくスキル

まず、小児患者が入院している病棟勤務の場合です。重度の慢性疾患・先天性疾患の患者は大きな総合病院に多く、民間の比較的小さい病院には風邪や骨折などの急性疾患の患者が多い傾向にあります。

その中での看護師の仕事は、医師の診療介助はもちろん、入院している子供たちの発育状態を観察し、大人に比べて急変しやすい容体の変化にも臨機応変に対応します。さらに、病気や怪我と闘う子供の心身にわたるケアはもちろんですが、子供が苦しむ姿に動揺する保護者に対するケアも重要になってきます。

そのため、子供の死や苦しむ姿に向き合える強い心、様々な症状に対応できる高い知識と技術、病状を正確に判断する力が求められ、それらは働きながら自然に身についていきます。

NICUやGCUで身につくスキル

さらにNICU(新生児特定集中治療室)は、未熟児や先天性疾患を持って生まれた赤ちゃん、すぐに手術をする必要のある赤ちゃんがおり、その子供たちの集中管理と治療を行う場所です。主な仕事は、新生児の体調管理、輸液や注射などの医療ケで、、容体急変時の酸素投与や他の病院への搬送なども行います。

保育器の中でしか生きることのできない赤ちゃんは、容体の急変がとても起こりやすいので、NICUで働く看護師には小さな変化も見逃さない注意力と心配りが身につきます。

また、NICUほどの集中管理や治療の必要がない新生児のケアを行うGCUに配属される場合もあります。

GCUは回復治療室と呼ばれる通り、回復の目処が立った赤ちゃんがほとんどですが、患者の中には後遺症と共に生きていかなければいけない子もいます。退院後の生活(沐浴指導・授乳指導)についてや、その子その子に合った成長指導、後遺症へのフォローを含め、保護者への働きかけが重要な仕事になってきます。

GCUで働くことによって、個体差のある小児への処置などを通して、専門性の高い知識とあらゆる局面に対応できる柔軟な思考力を身につけることができます。

以上のように、同じ小児看護師でも働く場所によって見につくスキルは変化しますが、小児を看護する上で共通するスキルは、鋭い観察力と素早い状況判断力と、保護者と協力し合いながら患者の看護にあたる意識、さらに一番大切なのは子供を好きな気持ちです。親子に寄り添いながら、闘病生活を前向きな気持ちで過ごせるようにサポートすることが小児看護師の使命であり、醍醐味といえます。

小児科看護師のスキルアップ資格

小児科で働く看護師にとって、スキルアップになる資格として代表的な資格が2つあります。

NICUにおいて、早産児や低体重児、その他疾患がある新生児のケアを通し働く中で、さらに新生児集中ケアのプロを目指すための資格である「新生児集中ケア認定看護師」と、小児救急で子供と家族に対する適切な援助を行い、子供への虐待の予防・早期発見・援助の実践に専門性を発揮する「小児救急看護認定看護師」です。

子供に関連する資格として、新たな命が生まれてくる手伝いができる「助産師」などの資格もあります。