呼吸器科看護師になると身につくスキル

呼吸器科は、肺炎や肺がん、結核といった呼吸器の疾患を扱う診療科で、日本では肺炎や肺がんによる死亡率が高いこともあり呼吸器科の需要は高まってきています。

呼吸器科は総合病院や大学病院など規模の大きな医療機関に多く見られ、個人のクリニックには少ないという点も特徴の1つです。そのため、総合病院や大学病院で勤務すると様々な疾患や容体の患者を担当する機会があり、専門的で高度な知識や技術が必要で同時に様々な経験を積むことができます。

複数ある診療科の中から率先して配属を希望する人はそれほど多くありませんが、呼吸器疾患を専門とする診療科であるため専門性が高く、スキルアップやキャリアアップに繋がるような仕事が多いです。

呼吸管理

身に付くスキルの代表は、呼吸器疾患の治療に関するものです。呼吸がうまくできずに運び込まれてきた患者に対して処置を行ったり、入院患者の疾患・症状などを観察し容体の変化を見逃さないようにしたりするのは重要な仕事の1つです。

がん看護の知識・技術

呼吸器疾患は患者によって症状が異なることが多いので、1人1人細かくチェックする必要があり、処置についても細かな作業が多いので集中力も養われます。また、呼吸器疾患の1つである肺がんはがんによる死亡率の上位にあります。そのため、がん患者の治療に携わる機会も多く、がん治療に関する知識や技術も身に付けることができます

感染症対策に関する知識

呼吸器科では感染症対策を徹底して行う必要があるため、看護師にもその知識やスキルが求められます。これは呼吸器疾患を持つ患者は、インフルエンザなどの感染症にかかると症状が悪化しやすいことや、結核などの感染症患者の治療を行っていることなどが理由にあります。

病院の外から感染症を持ち込まないこと、院内感染を防ぐこと、病院の中から感染症を持ち出さないことなど、様々なところへ目を向けて配慮する必要があります。

そのため、看護師1人1人が感染症対策に関する高度な知識やスキルを身に付けて、対策に取り組むことが求められます。

コミュニケーション能力・メンタルケアに関する知識

コミュニケーション能力やメンタルヘルスケアに関するスキルも身に付けることができます。これは呼吸器疾患を抱える患者には高齢者が多く、うまく会話ができない人が多いことが理由の1つです。

また、がんなどの治療が困難な疾患を持つ患者が多いことも理由にあります。「病気になった」「入院した」というだけでも患者にとっては精神面でのショックやストレスは大きく、患者を支える家族にとっても精神的な負担は大きいものです。

そのため、患者や家族の気持ちに寄り添ってケアをすることが必要で、このような精神面でのケアを行うためにはコミュニケーション能力やメンタルヘルスケアに関する知識や技術は重要です。

関連資格

呼吸器科に勤務することで様々な資格を取得することも可能です。

取得できるものの代表としては、

  • 慢性呼吸器疾患看護認定看護師
  • 慢性呼吸器疾患看護認定看護師は、慢性呼吸器疾患について熟練した看護技術と知識を持つことを認定するものです。

    取得するためにはいくつかの条件をクリアし、時間も労力も必要としますが、キャリアアップだけでなく職場によっては給料アップにも繋がるような重要なものであるため、取得を目指す人は多くいます。

  • 呼吸療法認定士
  • 呼吸療法認定士は正式名称を「3学会合同呼吸療法認定士」と言い、呼吸療法を熟知した呼吸管理を行う医療チームを構成する人材を養成し認定するものです。

    実務経験が2年以上あれば受講することができ、2日間の講習後に試験に合格すると認定を受けることができます。この資格は、呼吸療法の実践に精通する知識や技術を身に付けることができるもので業務の中で大いに役立つ資格です。