かなこ:私が特に看護師を辞めたいと思ったのは、新人時代の頃でした。新社会人になって、責任の重さや人間関係など今まで経験したことない壁にぶち当たって、とても辛かった思い出があります。毎日、「辞めたいなぁっ」とぼやいていた時期でした。

ゆか:看護師として仕事をしている人なら、誰でも一回や二回仕事を辞めたくなったことってありますよね。私も何回かあります。

かなこが看護師を辞めたくなった理由

出勤時に、同じく悩んでいた同期に信号待ちで出会うと「このまま私たちトラックにひかれたらいいのにね」なんて冗談を言っていましたが、相当病んでいたと思います。先輩方に叱られて、うまく立ち回れなかったりすると、自分は看護師に向いてないんじゃないかと思ったりもしました。

よく1年目、3年目、5年目が看護師を辞めたくなる時期と言われていますが、その通りになったように思います。

ある時、何か大きな失敗をしたわけではなかったのですが、どうしても病院に行きたくないと思った日がありました。積もり積もった仕事のストレスが原因だと思いますが、起きる気力が出なかったのです。

思わず同期にメールすると、彼女は休みだったのですがすぐに返信があり「休んじゃえばいいよ」と一言。

私も「そうか、もう休んでしまえ」と思い、師長に仮病を使って休みの連絡を入れ、とても晴れ晴れした気持ちになったのを覚えています。

その日は彼女と海にドライブへ行き、普段の休みとは違った気分でスッキリしました。

翌日、出勤する時はドキドキでしたが案外みんな普通で、たんたんと仕事をしていので何だか安心して仕事にすんなり戻ることができました。仮病を使ったのは、最初で最後、この一日だけでしたので今でもよく覚えています。

私にとって、同期の支えが一番重要でした。お互いに悩みが似通っていて同じ人間関係の輪に悩んでいる、一番話がわかる存在です。

今は、それぞれ仕事を辞めてる人や続けていても転職したり、また子どもがいたりとみんなバラバラになっていますが、よく集まる仲です。ですので、新人ナースのみなさんに言えることは、同期を大切にしてください。お互いにとって一番の理解者であり支え合って成長していけると思います。

ゆかが看護師を辞めたくなった理由

私は、新卒の頃は配属された救急病棟の仕事が本当に大変でしたが、その時は仕事を辞めたいとは思いませんでした。念願の看護師になって意欲に燃えていたし、仕事を辞めたいと思う余裕もないほど仕事の激務に追われていたのかもしれません。

初めて仕事を辞めたいと思ったのは、1人目の子供の育児休暇が明けて1年半ぶりに元の職場に復帰して、仕事と育児の両立で疲れていた時だったと思います。初めての育児で慣れないうえ、託児所に預けながらの職場復帰でしたので育児休暇が明けたら一気に忙しくなりました。

もちろん双方の実家や夫の協力はありましたが、やはり自分にかかる負担が大きく体力的にも精神的にも辛い時期でした。家事と育児で疲れてくるので、ついつい子供に当たってしまったり、家事が満足にできないことでイライラしてしまったりしました。

そんな時、やっぱりこのまま仕事を続けていく自信がなくなり仕事を辞めようかと思いました。育児と仕事の両立は頭で考えるより実際はずっと大変だと実感したのです。

仕事を辞めようかと思いながらも踏ん切りがつかず、結局第2子の妊娠中に体調を崩して退職しました。

その間にも卒後研修や学会提出のための症例研究など、本来の仕事ではない付随した業務が負担で仕事を辞めようと思ったこともあります。ただでさえ仕事が忙しいのに、それ以外の研修に時間を取られることに嫌になったのです。

私は小さい頃から看護師になることが夢だったので、看護師の仕事がきつくて仕事を辞めたいと思ったことはありません。念願かなってなった看護師の仕事に専念できない状態になった時に辞めたいと思いました。

今も看護師不足は続いています。毎年たくさんの看護師が誕生してはたくさんの看護師が仕事を辞めていきます。看護師が本来の看護の仕事に専念出来るような環境作りをしていくことが看護師の離職防止になるのではないかと思います。