資格による違い

正看護師は厚生労働省の実施している国家試験に合格することにより、厚生労働大臣から免許が交付されるものです。

一方で、准看護師はそれぞれの都道府県において実施されている准看護師資格試験に合格することで都道府県知事から免許が交付されます。国家試験ではないのですがその有効性は全国に及んでいるため、試験を受けた都道府県外で就職することも可能です。

資格試験で合格するために

准看護師は正看護師に比較して、免許を取得するにあたって試験の難易度も低くなっています。その合格基準は、最低限の看護技能が備わっているということです。

何が求められるのか?

実務で必要とされる技術的な部分が中心です。正看護師ですと科学的な根拠に基づく思考力や判断力を持ち、社会における看護師の役割についても理解していなければなりませんが、准看護師にはそこまでは求められていません。

養成機関での学習

准看護師は資格試験を受験するために、2年間は養成所などで学ばなければなりません。ただ、試験に直接関係しない内容であるため科学的根拠などについては授業でも取り上げられず、たとえば発熱があったときの対処法を学んでもその処置が効果的である根拠まで詳しく学ぶことがないのです。

仕事内容・役割の違い

仕事をする上での原則

業務の内容自体に大きな違いがあるわけではないものの、准看護師は必ず医師や正看護師から指示を受けるということが義務づけられています。自分だけの判断にもとづいて医療行為を行うことは、基本的に認められていません。

制限がある理由は、発熱ひとつをとっても様々な原因があって処置の方法もそれぞれ異なりますが、准看護師は資格取得時、根拠の理解に必要な教育を受けていません。そこで必ず理解のある医師か科学的な根拠のもと看護を行う正看護師から指示を受けなければならず、それを前提として適切な処置にあたるのです。

仕事内容について

准看護師も医師による診察のサポートや注射、採血なども行います。また、入院している患者さんのバイタルチェックや服薬管理、看護ケアなどにあたり正看護師と同じように夜勤も担当します。

一般的に正看護師も准看護師もほとんど同じ仕事をしますが、その判断が自身の判断によるものであるか、指示を受けているかという違いだけです。

逆転現象?

キャリアが浅い正看護師に比べて、豊富な実務経験を持っている准看護師の技術が高いという場合もあります。それでも准看護師はあくまでも医師や正看護師の補助的な立ち位置ですから、正看護師へ向けて指示を出すことや役職に就くようなことはありません。

給料・待遇の違い

総じて正看護師と比較すると、准看護師は全体的に劣っています。中でも個人経営で規模の小さい病院や診療所、クリニックなどですとその差が顕著で、准看護師は条件面で恵まれないケースも少なくありません。

給料の違い

一般的な病院に勤務する場合で夜勤を含めた常勤の正看護師は480万円、准看護師ですと430万円です。大きな仕事の違いがないにもかかわらず、資格が異なるだけで年収にしておよそ50万円の開きが出てしまいます。

手当について

正看護師が認定看護師や専門看護師などといった専門資格を取得すると、別途の資格手当が支給されます。ですが、准看護師についてはそもそもそういった専門資格を取得することができないため、手当に関しても支給対象から外れてしまうのです。

違いのない職場

高齢者介護施設などといったように高度な看護技術が求められることもない勤務先では、正・准という資格の別を問わず一律の給料設定がなされている場合もあります。

大きな差がないばかりか、5年以上の実務経験があればケアマネージャーの受験資格も得られますから努力次第で更なる収入を期待することも可能です。