訪問入浴サービスは、介護保険を利用するサービスのひとつとして提供されているものです。身体の不自由な高齢者が利用することも多いものですから、入浴そのものだけでなく利用する人の健康状態にも十分に気をつけられなければなりません。
そこで入浴の準備や洗身などをおもに行う介護職員と、健康状態の確認などにあたる看護師がチームを組んでいます。時には入浴を実施することができるかどうかの判断も看護師にかかりますから、仕事上で担う役割も大きなものになっています。
具体的な仕事内容としては現場を訪問してまず体調などのチェックを行い、入浴の可否について判断します。
入浴中にも常に状態について観察を続け、入浴が終わった後には再度の体調チェックやサービスに関する記録も担当します。主治医から持病や身体状況などに関する書類が用意されていることもあり、それも判断材料となります。
入浴そのものを実施するかどうかだけでなく、状況に応じて清拭だけ、全身浴ではなく手浴や足浴などといった部分浴などへサービス内容を変更する場合もあります。
体調のチェックとしては血圧や体温などの測定や皮膚の観察を行い、異常の兆候がないかどうかを見極めます。また入浴後に軟膏などの薬を塗る、湿布を貼る、消毒するといったように簡単な処置は行うこともあります。
それとともに状況を見ながら入浴の介助にも参加し脱衣や着衣、洗体のサポートもする場合が多くなっています。なお仕事をする際は事業所で制服を用意している場合や自由とされている場合もあり、動きやすさを重視してジャージなどを着用している人も少なくありません。
訪問入浴における看護師の医療行為について
看護職としての業務を除いた部分は事業所ごとに仕事の線引きがなされていて、担当する内容には幅もあります。医療行為については難しいところであり、原則としては法的に医師による指示がなければ看護師は医療行為を行うことができないため、医師のいない訪問入浴介護の現場では認められないということになります。
つまりあくまでも医師が最初に書類で入浴の可否を判断していて、その状態が保たれていることを裏付けるという意味でバイタルチェックをしているという解釈です。このあたりの詳細は事業所によっても解釈が分かれていて、たとえば褥瘡の処置ひとつをとっても原則はかかわることができず、手伝いというかたちで認められているというケースもあります。
訪問入浴の仕事の1日の流れ
訪問入浴サービスに関しては事業所によって、1日に訪問する軒数が3軒程度から10軒ほどになる場合もあります。
朝の出勤時間もいろいろですが、出勤するとすぐに着替えて必要な物品のチェックなど、準備にあたります。
出発前には事業所で朝礼などが行われる場合のほか、規模によっては各自でその日に訪問する人の情報についてカルテなど確認が行われ、連絡事項の伝達などといった打ち合わせもあります。派遣勤務の看護師であっても原則として現地集合ではなく、一度事業所へ出勤することが一般的です。
サービスにかかる所要時間は入浴自体が10分から20分程度が目安となり、準備や片付けを含めて1軒あたりにかかる時間で合計すると40分から1時間程度となります。
それぞれ訪問先での流れは基本的に同じであり、バイタルチェックに問題がなければ浴槽の準備をして脱衣、入浴、着衣、そして再度のバイタルチェックをして片付けという手順が繰り返されます。
短時間勤務でなければ、午前と午後の業務の間には1時間の休憩をはさみます。1日の仕事を終えて事業所へ戻った後は必要な記録などをまとめ、改めて物品もチェックします。
資料の整理や次の日の事前連絡なども、担当します。最後にその日の業務内容について報告し、退勤ということになります。
またフルタイムの勤務でスケジュールに空きがあるような場合には、介護職員とともにはじめてサービスを利用する人の家庭を事前訪問し、訪問入浴介護計画書の作成にかかわることもあります。
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