心療内科で働いた経験がある私の体験や思ったことをまとめました。この診療科に興味がある看護師さんは、是非参考にしてみて下さい。
患者さんとのコミュニケーション
心療内科のイメージはうつ病。病んでいる患者さんになんて介入できるか不安でした。
心療内科の仕事は患者さんの話を聞くことが一番の看護です。いかに、話を聞き出せ、気持ちの整理ができるように介入していくことが重要になります。
無口なひとも多く、ものすごくたくさん話す患者さんもいます。同じ疾患でもキャラクターも問題点もバラバラで、介入方法が難しいと感じることもあります。
悩みがあれば、そのことについて永遠に話す患者さんもいます。「それは昨日の記録に書いてあったなぁ」とか、「そんなこと気にしなきゃいいのに」とか…
「私にとっては、そんな悩むことじゃないのに、なんでそんなに悩んでいるかなぁ」と思うこともあります。その悩む気持ちがわからなかったりもします。それでも、とにかく共感しようと努力します。
その人にとっては重要な問題なのだ、わかろうとしなくちゃ、と頑張ったりします。今日は忙しいのに、こんなに話をしていたら今日は仕事終わらないなぁと正直感じてしまうこともあります。
患者さんの生活リズムの調整
悩んでいることを聞き出すことがすべてではありません。まずは、身体的な苦痛をとることも重要です。
生活リズムが崩れている人も多いです。なかでも、眠れない人が一番多く、まずは休息がとれる環境をつくることが重要になります。
医師からの指示の睡眠薬の使用はもちろん必要となることが多いですが、その服用するタイミングや環境調整は看護師の仕事になります。病院での生活は消灯時間も早く、入院前の生活では寝ない時間に消灯されてしまいます。お年寄りの患者さんにはいいのかもしれないが、若い人に、夜9時すぎに寝ろというのはかなり酷な話ですよね。
夜更かしはしてほしくないが、かといって、夜9時に寝なければいけないということはありません。そのため、その患者さんに合わせて睡眠薬を渡す時間を決めます。朝はきちんと起きられる時間を調整しつつ、それでも患者さんの生活習慣も考慮し、調整していくのが看護師の仕事です。
しかし、退院後に普段の生活に戻った時に再び眠れなくなってしまっては意味がありません。もちろん、入院により、生活リズムを立て直すことは重要ですが、それでも個別性を尊重し、その人の生活スタイルにあったものを提供し、実施していかなければならないのです。
個別性のある看護が大切とよく聞くし、いつでも心がけたいことですが、これほど個別性が重要視され、同じ疾患でも個別性が表れるのは、心療内科の特徴であると言えます。
医師との連携
心療内科の患者さんと接するにあたって、医師との連携は必須です。
患者さんが話している内容が本音なのかどうかということも重要になります。看護師と医師には話すことが違う患者さんもいるのです。
看護師自身が、患者さんにコントロールされることにならないようには注意が必要です。たまに「あなたにだけ話すからだれにも言わないで欲しい」と言われることさえあります。
すごく難しいことですが、あくまでチーム看護・チーム医療として情報の共有を行わなければ、一貫した対応はできません。
「誰にも言わないで欲しい」といわれたことも共有し、それをその患者さんのキャラクターを掴むための要素にしなければならないのです。
心療内科の看護師に求められるもの
私は心療内科で働いてみて、コミュニケーション能力を鍛えなければいけないと強く感じました。
自分がその患者さんに伝えたいことがあっても、うまく言葉で伝えられないこともあります。伝えたかったことと相手に伝わったことが違う場合もあります。また、相手が伝えたかったことが、自分に伝わっているか不安になるときもあります。
自分のコミュニケーション能力と患者さんの言葉を頭の中で整理する力が必要なんだと思います。
他の科と違い、一見健康そうな人がほとんどです。その問題点を見つけ、解決していくには、話を聞ける看護師になることが大切です。
時間に追われる仕事ですが、その中で、いかに時間を作り、患者さんと会話するかが鍵を握ります。看護師の個性もでる科と言えるかもしれませんね。
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