最近、子どもたちを恐怖に脅かす、ウイルスが蔓延している事をご存知ですか?

エンテロウイルス。子供たちを原因不明の麻痺に陥れます。

昨年の夏以降、発熱、咳と同時に、原因不明の四肢麻痺を発症し、医療機関を受診する小児から多く、エンテロウイルスが検出され、小児科に勤務する看護師に多く、対応を迫られる疾患や症状の原因菌として、小児医療界をにぎわせています。

エンテロウイルスとは

エンテロウイルスには、予防ワクチンや治療薬はありません。

多くは、軽い風邪症状で治まりますが、昨年に至っては200名を越える四肢麻痺などの重症ケースが報告されています。

夏から秋に流行すると言われており、まだ少しの間にぎわせそうな疾患です。

【症状】
喉の痛み、咳、発熱などの風邪症状、頭痛、下痢、呼吸器症状、手足の麻痺など

【潜伏期間】
3日から7日間(はっきりはしていないそうです)

いつの間にか発症し、軽症でこの菌と分からず回復してしまう事もあるようです。

【治療法】
明確な治療はなく、症状に対して対症療法をするのみです。

咳には咳止め、熱には解熱剤、食欲不振や脱水には点滴療法等を行います。

【感染経路】
飛沫感染と接触感染と言われています。

予防としては、マスクと手洗いやうがいなどの標準予防策を行い、感染者との接触を避けることです。

小児看護に求められるもの

0歳から16歳までの子供を対象に幅広い年齢や発達段階に介入するのが小児看護です。

幼少期から思春期を対象にする為、子供の心や家族関係を理解し、様々な視点での介入が必要です。

小児看護においては、迅速で的確な観察力と、小児への理解や生活の質を高められるケアや発達段階に応じた生活、治療支援、家族への治療や子供の必要支援指導を行い、また、どもと家族の心のケアも必要です。

子供のストレスケア

子供は、環境変化に敏感です。

知らない環境で、入院して苦痛を伴う検査や治療を行う事、家族と離れて治療をすることに不安や恐怖、強いストレスを感じます。

また、自分の体の状況を正しく理解できるわけではなく、自分がこれからどのようになるか分からず、つらく、苦しいと感じています。

それが引き金で心の正常は発達を阻害する要因とならないよう、その子の心の状態を理解し、すこやかな成長発達を促せるケアが必要です。

ストレスによる反応と対処法

【身体症状】
発熱、頭痛、腹痛、食欲不振、脱力感、不眠

【精神症状】
泣く、発生や発語の低下、反応の低下、欲求の低下、依存傾向、拒否反応、攻撃性など

【行動異常】
排泄行動の退行、チック、指しゃぶり、暴力性、赤ちゃんがえりなど

ストレスへの対処として、まずは子どのが安心出来るよう関わることが必要です。気にかけ、声をかけ、コミュニケーションを通じて信頼を獲得します。時に、遊びを通じて心を通わせ、仲良くなることも必要です。

また、他の子どもたちとの交流を促したり、遊び道具を提供し、治療の合間に子供がホッとできる環境づくりも必要です。

危険や危機管理が充分でない小児には、転倒転落、事故予防に充分な配慮を行い、楽しく安全に遊べる環境を作ることも必要です。

まとめ

小児看護とは、奥が深く、その配慮の視線は対象者のみではなく、その子供を取り巻く環境全てに対応が求められます。

急速に進行し易い子供の身体状況や疾患理解を行い、異常早期発見に努められる観察力、その子の成長発達を阻害しない看護ケアにより、安心した療養と治療が行えるよう支援する事が必要です。

その為には、対話、関わりを充分に行い、個別性を理解した手厚い看護が必要です。

理解力や判断力に大きく差が出る小児看護は、その子に応じた説明や家族を巻き込んだ治療が必要です。

小児の疾患や入院は、家族全体の生活や日常を変化させるものです。

そして、精神的負担も多くあるので、早期回復と退院を目指したいところです。

看護師に出来ることは、一人一人の発達や認知レベル、身体や精神状態に応じた充分なアセスメントで看護を行うことと、子供と家族の信頼獲得ではないでしょうか。