世話役

MRI室で勤務する看護師には、主に2つの役割があります。まず1つ目は、検査を受ける患者さんのケアを行う「世話役」です。

MRI検査を行う際には多くの注意事項があり、それを患者さんにきちんと説明し協力してもらう必要があります。具体的には指輪や腕時計といった金属類を外すこと、検査中は同一体位を保持すること、撮影部位や検査内容によっては絶飲食を行うこと等です。

また、これらの他にも、造影剤を使用する場合には事前説明を行ったりする必要もあります。世話役としての役割を担うMRI室のナースにとっては、患者さんに対して説明を行うことは非常に重要で、検査前から検査中、検査後までに行う仕事のほとんどが「説明」と言っても過言ではありません。

患者さんの中には、初めてMRI検査を行う人や子どももいて、毎回スムーズに検査が進むとは限りません。ですから、看護師の説明や介助によって患者さんの理解を得たり不安を軽減させることが安全安楽な検査に繋がっていきます。

検査に関する説明を行う際に看護スキルを必要とすることは少ないですが、MRIの特徴や検査の目的を把握していることが必要となり、とても重要な仕事の1つです。

その他には、

  • 輸液ポンプの取り外し・管理
  • ドレーン管理
  • 疼痛コントロール
  • アレルギー対応
  • 造影剤の漏れ
  •          

など、様々な分野のスキルが求められるのも、MRI室看護師ならではです。

操作役

もう1つの役割は、実際にMRIの操作を行う「操作役」です。

CT室で勤務するナースは、診療放射線技師の資格が無ければ操作することはできませんが、MRIは放射線を使わないため看護師も操作が可能となっています。多くの病院では診療放射線技師が担っていますが、法律上では看護師の操作も違法ではないのです。

実際に、クリニックなどで人手が足りない職場などでは、看護師が世話役と操作役の両方を担っているケースも見られます。

看護師にとってMRI室で勤務すること自体あまり経験することが無く、最初の頃は活かせる知識もスキルもないという人がほとんどですが、機器操作まで任されることになると精神的な負担になってしまう人もいます。

また、MRIの操作がナースの仕事内容に含まれることを知らずに、勤務条件などに魅かれて転職し戸惑ってしまう人も多くいるので、MRI室での求人に応募しようと思った時には、仕事内容についてもきちんと確認することをおすすめします。

MRI室で働く看護師の目的

このように、MRI室で勤務する看護師の役割は主に2つありますが、ここで働く看護師の最大の目的は「安全安楽な検査を実施すること」です。

職場によっては毎日何人もの患者さんの検査を実施して、同じ作業の繰り返しとなってしまうこともありますが、MRI検査では刺青の有無、金属類の有無、マスカラ使用の有無など確認項目も多く、小さなミスが患者さんの命にかかわる場合もあります。

ですから、同じような作業が続く中でも患者さん1人1人の病状を考慮し、ミスのないよう集中して業務を行うことが大切です。そのためには検査に関わるナース同士でチェックを行ったり、医師や技師などと密に連絡・調整を行ったりする必要があり、これも大切な仕事の1つです。

MRIの特徴

生理学的検査の1つであるMRIは今でこそ身近なものとなっていますが、以前は総合病院や大学病院など規模の大きな医療機関に備わっていることが多かったものです。

しかし、最近ではクリニックでもMRIを備えている施設が増えてきており、がん検査の際にはCTと組み合わせて検査を行うこともあるなど、主要な検査の1つとなってきています。

MRIはCTと違って放射線を使わずに検査を行うため、放射線の被ばく量を気にしたりする必要がなく、子どもでも検査を行うことが可能なので、無害なのが大きなメリットです。

ただし、妊婦は胎児の影響を考え、原則としてMRIを受けることはできません。

また、ペースメーカーを使用している患者さんは検査ができないことや、検査に時間がかかること、造影剤を使用する際にはアレルギー症状にも注意しなければならないことなど、デメリットもあります。