看護師さんが、日々残業をする理由は様々なものがあります。

受け持ちの患者さんが急変した、自分の仕事が上手く回らなかったなど、日頃から、なかなか時間通りに帰れずに、サービス残業ばかりで辞めたいと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

ここではその実態と、どのようなポイントを重視しながら対処すれば良いかについて、ご紹介いたします。

サービス残業の定義を確認しよう

そもそも残業とは一体どのようなものを言うのでしょうか。

通常の残業では、決められた労働時間外に行う業務のことで、その分を勤務先に申告します。

また、法的に残業として行って良いとされる範囲が定められているので、その範囲を超えて行うことは出来ません。

では、サービス残業とは何でしょうか。

文字通り、サービスで残業を行うことです。

要するに、ボラアンティアンのように、行った業務への賃金が発生せず、管理されていない業務を言います。

いかがですか?

日常的に、勤務時間外に賃金が発生しない労働を行っていませんか?

看護師のサービス残業の実態

よくあるサービス残業には以下のようなものがあります。

  • 職場の勉強会に休日に出席する(休日扱いのまま)
  • 看護研究のための資料作成を勤務時間後に行う(残業としては申請しない)
  • 業務を自宅に持ち帰る(残業として申請しない)
  • 係活動の一環として、休日に外部の研修会に参加する(休日扱いのまま)
  • 勤務表の作成や、チーム編成などの管理業務を、終業後に行う(残業として申請しない)

自分の経験年数や役職によって、当てはまるサービス残業の種類は異なると思いますが、多かれ少なかれ、一つくらいは誰でも思い当たるところがありますよね。

全国的にはどのような結果になっているのか、日本看護協会が行った調査結果を見てみましょう。

看護協会のアンケート結果紹介

2008年に日本看護協会が、全国の看護師を対象に「時間外労働、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査」を行いました。

その結果、2,572名の回答から以下のことが分かりました。

ある月の時間外労働(残業)時間は、平均すると23.4時間で、中でも、20代(平均25.9時間)の看護師と、管理職(平均28.2時間)の残業が多いことが分かりました。

問題はここからです。

実際の残業時間は、先述した時間であるにも関わらず、申請されている残業時間は平均8.5時間という結果が出たのです。

管理職に至っては、さらに少ない8.0時間のみの申請でした。

つまり、平均で約15時間分の残業は申請されずに、サービス残業になっていることが明らかになったのです。

残業ばかりで辞めたいなと悩む人が多いのも、無理もないことが分かります。

なぜなら、残業を管理するべき管理職の立場にいる看護師さんが、最も残業を適正に申請していないのですから。

しかし、これは管理職の看護師さん1人に問題があるわけではありません。

そうさせている職場の組織に問題があると言えます。

では、辞めようか悩んでいる人はどうしたら、良いのでしょうか。

こんな場合には転職しよう!

人事に関する組織の問題というのは、一般の看護師さんでは変更を加えるのは、正直なところ大変難しいと思われます。

やはり現実的なのは、転職して、より自分の求める環境に行くことが良いのではないでしょうか。

そうは言っても、みんな我慢しているのだからと、自分だけ逃げ出すような抵抗を感じる人もいるかもしれません。

そんな人は、下記の転職すべきか見極めるポイントを参考にして、考えてみてください。

「サービス残業」の見極めポイント

  • サービス残業が多く、休息がしっかり取れない
  • 常に仕事に追われ、よく眠れない
  • サービス残業をとてもストレスに感じる
  • サービス残業をすることは当たり前の組織文化がある(暗黙の了解)
  • 職場がギスギスして、お互い助け合おうという精神がない

当てはまるものはありましたか?

当てはまる数に関わらず、心身ともに疲弊し、看護師を辞めてしまおうと悩んでいるのなら、今すぐ転職することを、お勧めします。

ひと昔前は、残業をすることこそが、日本人の美徳で、愛社精神の現れかのように言われてきましたが、それは過去のものです。

現在はライフワークバランスの重視が叫ばれていて、過労死の問題も注目されています

これは医療業界も例外ではありません。

職員の健康を考えた職場に自ら移り、進んで生き生き働けることは、とても健康的なことですし、ひいては患者さんのためにもなります。

では、どのような職場に転職するのが良いでしょうか。

転職先選びはここがポイント!

サービス残業を良しとしないような職場を選択するためには、いくつかのポイントがあります。

職場を探すときの参考としていくつかご紹介します。

研修会参加などをバックアップしてくれる職場

これは本当に多くあることだと思いますが、特に職場の勉強会参加に対して、休日にわざわざ出向いたり、夜勤明けにそのまま残り参加させられる場合ってありますよね。

より良い医療の提供のための勉強会なのに、そのもの自体がやる気を削ぐ会になっていることに目を向けなくてはいけません。

看護師さんに限ったことではなく、自己研鑽は自らが進んで行うもので、仕方なく行うことでは意味がありません。

私が実際に転職した病院では、職場自体の勉強会も推奨されていましたが、外部の研修会にも積極的に参加するように支援してくれていました。

例えば、外部主催の参加したい研修会などがあったとして、その日程を申請すると、勤務日扱いになり、さらに研修費を全額補助してくれました。

こういう職場はたくさんあります。

スキルアップをしたい職員を、全面的に支援するよう体制を整えている職場はホームページや募集要項で必ず強調しているはずですので、そのあたりを確認することが重要です。

残業を良しとしない組織文化

これは、働いている人の年齢や家族構成も大きな要因になりますが、まずその組織の管理者が、進んで残業ゼロを目指すことを推進していることが大切です。

それは、多忙な業務の調整はもちろんのこと、自らの行動としても、残業をしないことを示し、部下の人たちが、お手本とできるような体制を取っていることです。

また、仮に残業が発生しても、それをありのまま申請できる環境であることも重要です。

実際に行った分を申請したら、知らぬ間に師長に削除されていて、なかったことにされていたということもありますよね?

申請できる上限が決まっているから、新人は残業申請できないなど、様々な理由はあるのでしょうが、一生懸命働いたのに、納得がいきません。

こんなことばかりなら、辞めようなかと思いますよね。

そういったことに組織全体で取り組みを行っている職場を見つけましょう。

そのような職場は、相乗効果として、子供の支援や家族の介護の問題など、助け合う精神が生まれているところが、とても多いです。

転職先の職場がどのように職員を支える仕組みを作っているか、確認してみてください。

特に、様々な年齢や家族構成の人が長く働いている職場は、支援が整っている証拠でもありますので、組織理念などの紹介以外にも、職員の方の家族構成にも目を向けると良いかもしれません。

まとめ

先ほども記載しましたが、今は個人のワークバランスを重視する世の中です。

サービス残業を強いられて看護師を辞めたいと悩んでしまうなら、自分を大切にできる職場を見つけましょう。

特に、これからはそういう職場が重視され、ますます増えていくことが予想されます。

キャリアを伸ばすも良し、ゆとりを持って働くも良し、自分で生き方を自由に選択しながら、仕事を続けて行きたいですね!