がんの化学療法は効きにくくなった患者さんに特定の薬品を使用すると回復効果が期待されるとの研究結果が発表されました。

前立腺がんに発症し、薬剤を用いた化学療法が効きにくくなった患者さんに、C型肝炎治療薬の「リバビリン」を投与すると、がん細胞が減少、活性減退したそうです。

安全性の確保された薬品同士を利用する事で安全に低コストで症状他病態の改善が図れると注目されています。

副作用や薬剤との相互作用の研究を進める必要があるとのことですが、では、医療機関に勤務する看護師として抗がん剤を利用した治療への必要知識や認識について改めて記載します。

抗がん剤投与の副作用と肝障害

化学療法で注意が必要なことは副作用の出現です。

その中でも肝障害に注意が必要と言われ、肝臓等の臓器を障害すると、がん疾患のみではなく全身状態の悪化を来たし良い治療結果が得られないことがあります。

よって、化学療法と肝障害の副作用について看護師は正しい理解を持つ必要があります。

肝障害の原因と特徴

人は、薬を内服すると肝臓で代謝されることはご存知でしょう。肝臓の持てる力を発揮し、代謝能力を越えてしまうと、肝機能を低下し、副作用として肝障害を来たすことがあります。

薬の投与量、期間にもよりますが、投与開始数日より数週間かけて症状を悪化させることがあります。

また、治療中止により約2週間程度でその機能が回復するとも言われていますが、副作用の発見が遅くなればなるほどその回復が遅延し、命に関わる事もあります。

症状:発熱、倦怠感、食欲不振、アレルギー症状や発疹、黄疸、重症化ケースでは意識障害を来たすこともあります。

注意すべき薬剤:メトトレキサート、ビンクリスチン、エトポシド、アスパラキナーゼなどがあります。

治療:肝臓を保護する薬剤を投与し、その原因となる薬剤を中止します。

症状が重篤な場合は、ステロイドの投与や抗がん剤の中止を持って対処します。また、肝臓への負担を考慮し、高たんぱく、高ビタミンの食事に変更します。そして、身体的負担を考慮し運動は控え、睡眠と休息を充分にとれるようにします。

がんの化学療法に携わる看護師として

化学療法に関わる看護師に必要な知識は、その薬剤に対して正しい理解を持つことです。

化学療法にはマニュアルがあり、その方法に沿った投薬やケアが行われます。そして、効果と副作用と知り、異常早期発見出来るよう対策することが必要です。

副作用の対策として、骨髄抑制、気分不良や嘔吐、胃腸障害、脱毛、神経障害の発生が予測されます。

その使用薬剤によりどの副作用が起こりやすいかを理解し、早期対処されることが患者さんの安心と安全に関わります。

また、がんの治療を行う患者さんは、がんになったと言う事を知らされた時点で多くの不安を抱えています。そこに付けて辛い副作用の多い治療を余儀なくされるわけですから精神的負担は多大なものと考えられます。

看護師は、治療のみに専念するのではなく患者さんの心のケアを必要とされます。

心に寄り添い、その不安や恐怖を軽減できる関わり、安心できるような罨法やリラクゼーションケア、症状を軽減できる体位や体制保持の支援など患者さんが、安楽に安全に治療を継続できるよう支援する必要があります。

患者さんに最も近いケア担当者は看護師です。患者さんの求めるケアを考えましょう。

悪心、嘔吐への対応

水分摂取を頻回にし、脱水予防に努めましょう。そして、食事や水分摂取は一度に多くではなく、ゆっくりと数回に分けて行なえるように支援しましょう。

食べたいものを食べれるときに、あっさりとした食べやすいものを摂るようにしましょう。

また衣類の締め付けが症状を悪化させる要因であることを理解し、患者さんの衣類環境が窮屈で無いかと観察する事も看護師に必要な知識です。

脱毛に関するケア

髪の毛が抜けることは女性、男性問わず苦痛を強いられる事態です。まず、治療を終えると必ず髪の毛は生えてくることを知らせましょう。

そして、刺激の少ないシャンプーにし、柔らかいくしでブラッシングし、ドライヤーは低温で頭皮を刺激しないよう心がけましょう。

患者さんが許すのであれば治療前にバッサリ切ってみることを勧めてみることも良いでしょう。

そして、髪の毛が少なくなっている患者さんに対しては、紫外線が頭皮に与えるダメージを考慮し、頭皮を光線から守られるよう帽子の着用やスカーフの使用を提案する事も必要です。

かつらやウィッグに関する情報提供も必要なことがあります。

骨髄抑制

骨髄抑制により貧血や血球破壊がなされ、出血傾向となったり易感染性となることがあります。活動や運動を減らし、疲労しない生活を心掛けるよう指導が必要です。

ベッド上でも楽しめる療養法やリラクゼーションケアでストレス対策を行う事も必要です。

まとめ

がん治療において看護師が患者さんに出来ることは多くはないかもしれません。ですが、ストレスを軽減し、安楽な方法を考える姿勢が重要と感じます。

治療で苦痛を強いられる患者さんに「ホッと」できる安楽ケアを実践したり、症状や副作用が緩和できる療養法の指導や実践が出来れば一瞬でも患者さんに笑顔が戻るかもしれません。

患者さんの支えとなり、地片付けられる存在になれることががんの化学療法を支える看護師に必要なあり方ではないでしょうか。