今勤務している病棟では、意識状態を重視した看護を行っていますか?

今は意識レベルの観察を重要視していない病棟に勤務していても、時に病棟内で急変や急病、事故が起こった際には、意識レベルの確認を急きょ必要とされる場面が出てきます。

一刻を争う時、命に関わる時、もたもた、おどおどしていては看護師としての役割が果たせません。医療職として、看護職として働くのであれば、意識レベルのアセスメント知識がは持ち合わせていたいものです。

意識状態を正しく判断するためには、どのような知識が必要でしょうか。何を持って、どのように判断すべきでしょうか。

意識レベルの評価方法や観察点についてまとめてみます。

意識レベルの評価方法 JCS(ジャパン・コーマ・スケール)

意識レベルの評価方法には、JCS(ジャパン・コーマ・スケール)とGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)があります。

一般的に、JCS(ジャパン・コーマ・スケール)は、日本で普及している評価法で、急変や急病、救命救急の現場でし世王されることが多く、GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)は、世界共通の評価法で、細かく意識状態を評価したい時に使用されます。

Ⅰ‐0点からⅢ‐300点で評価され、点数が低いほど意識レベルが良いということとなります。

ここでは、日本で与聞く使用されているジャパン・コーマ・スケールについて説明します。

Ⅰは、覚醒状態を示します。

Ⅰ‐0 意識清明

Ⅰ‐1 見当識あり、不清明

Ⅰ‐2 見当識障害あり

Ⅰ‐3 自分の名前や生年月日等の自分のことが言えない

Ⅱ 刺激にて覚醒あり

Ⅱ‐10 呼びかけで開眼あり

Ⅱ‐20 強く揺さぶるなどで覚醒あり

Ⅱ‐30 痛み刺激を与えるとなんとか覚醒あり

Ⅲ 刺激に覚醒なし

Ⅲ‐100 痛み刺激に開眼ないが、払いのけ動作あり

Ⅲ‐200 痛み刺激で開眼ないが、手足の動きあり

Ⅲ‐300 板に刺激に全く反応なし

この評価は、患者さんの動きを充分に観察できなければなりません。

開眼なく、刺激に手も反応が見られていないと判断しても、実は、手先が、足先がわずかに動きを生じる場合もあります。よって、きめ細やかな注意を払った観察で患者さんの小さな動きを捉えられなければなりません。

鎮静の評価方法

急性期病棟では、鎮静剤を使用されることがあります。その効果を評価し、過剰な鎮静が無いか、鎮静が低すぎて精神症状や安静指示が守れない状態に無いかを判断する評価もあります。

●ラムゼイスコア
レベル1からレベル6まであり、レベルが引くと不安が強まり興奮状態を示します。

レベル2は、落ち着きのある覚醒状態で、レベル3は、覚醒しているが自発的活動が無い状態です。

レベル4は、入眠状態で大きな声かけに反応があります。

レベル5は、入眠中で、大きな呼びかけにゆっくりとした反応があります。

レベル6では、しっかりと鎮静が効き、眠っている状態となります。

その人の鎮静の必要性をアセスメントし、どの程度に鎮静が効くことを望まれるかを理解して調整する必要があります。

意識レベルの観察点

●体温
意識状態が悪くなる原因として、高熱や体温上昇、脳疾患等の疾患が原因での体温上昇を来たす場合があります。

体温上昇し、意識レベルが悪くなると、髄膜炎、脳炎、脳出血、感染症などを疑います。

●瞳孔径・対光反射有無
瞳孔や対光反射は、脳幹からの信号を眼球の動きで現し、生命徴候を現す指標となります。

また、脳血管疾患等では、その障害部位に応じて眼球偏移を来たすこともあり、意識障害があり、眼球偏移の状態を観察すれば、脳のどの部位に障害が出ているかの判断指標となる事もあります。

3mmから4mmで、左右差が無いことが正常です。

●呼吸状態
意識状態が悪化する原因として、呼吸状態の悪化があります。窒息や吐物の誤嚥、気道閉塞等を疑い、観察します。

また、呼吸パターンを観察し、チェーンストークス呼吸、失調性呼吸など脳疾患が潜んでいないかを鑑別します。

また、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患でも意識レベル低下をもたらすことがあり、SPO2や、動脈血ガス検査のデータ、吸気と呼気の観察も行います。

●脈拍と血圧の観察
脈拍異常は、循環器系疾患、脳疾患でも起こります。

意識状態の観察の瞳孔やバイタルチェックと共に脈拍の観察を行うと、脳疾患か、循環器疾患科の鑑別が出来ることがあります。

心筋梗塞、脳梗塞、脳圧亢進、心不全などが背景にあります。

また、血圧が高いと脳出血やクモ膜下出血、血圧が低いと急性のショック状態や糖尿病性昏睡や敗血症等が潜んでいることがあります。

さらに、四肢や体幹の麻痺、皮膚の状態や末梢循環の観察を行います。代謝系の疾患、循環器の疾患において、皮膚の湿潤や末梢の冷間やチアノーゼ、脳疾患では四肢麻痺を生じる場合があります。

まとめ

意識レベルの観察は、ただ、意識があるか、ないかではなく、その奥に潜む意識レベル低下の原因を探ることが大切です。一つの項目を観察するのではなく、あらゆる可能性を考慮し、その意識を観察、判断する必要があります。

また、意識状態は悪くなる場合と、良くなる場合があります。患者さんの状態を全身状態を絡めて把握し、その方が今、どのような状況にあるかを知って看護する必要があります。

長く意識が無い状態であった患者さんが、明日、覚醒するかもしれない、今日元気な患者さんが、数時間後に急変するかもしれないことを脳裏において意識状態は観察する必要があります。

そして、「あれ?」「何か変」「いつもと違う」という感覚が異常早期発見に役立つこともあります。