感染症内科に入院する患者さんは、何らかの病原菌に感染し、療養しています。この診療科に勤務する看護師は、患者さんの早期回復と、感染拡大予防、自分自身の身を護る看護技術や知識を要します。

また、感染について不安や恐怖を感じている患者さんに、安心して療養出来る様な関わり、周囲への申し訳なさ等を感じる患者さんに対しての心のケアを行う必要があります。

しかし、大きな総合病院や、大学病院、公立病院、自治体病院などでしか、耳慣れない診療科であり、ここで働く看護師の必要技術や知識は、あまり知られていません。

感染症内科では、呼吸器感染症、肺炎、尿路感染症、腎盂腎炎などの一般内科でも診療出来る疾患や、HIV感染症、AIDS、肝炎ウイルスや、結核等専門治療が必要な患者さんを対象とした診療科です。

さらに、確定診断を得ない不明熱患者等にも対応する為、質の高い感染管理が出来る看護知識や技術を要します。

必要な看護技術・知識

まずは、その病気の原因について検索するところから始まるのが感染症内科の特徴です。あらゆる検査を基に、その病原菌の究明と、治療法の選択を行います。

その確定診断に至るまでの間も、患者さんの体内で病原菌は活動し、拡大を図っています。その間にも、感染拡大を予防するための行動をとる必要があります。

細菌検査

尿や、血液、各痰などの検体を採取し、病理検査に提出します。

尿は、中間尿を尿検査用のスピッツに採取しますが、排尿困難であったり、正しく尿を採取できない小児や高齢者などにおいては、尿道カテーテルを用い、清潔に尿が採取できるよう介助します。

導尿技術を要します。

また、血液検査は、必要スピッツに採血をしますが、痛みを伴う為、一度で終了できるよう採血技術が必要です。

そして、各痰検査は、自己排痰して貰い、必要スピッツに採取しますが、ここでも自己排痰困難な方には、吸引にて痰を採取します。

鼻腔や口腔かた採取しますが、正しく吸引操作が出来なければ、痰が取れない他、低酸素状態に患者さんを陥らせてしまう事がある為、吸引技術の習得も必要です。

胸部レントゲン検査

肺炎や、呼吸器系感染症が疑われるときに行われる検査です。

着衣に金具があったり、ボタンがあったりすると画像に移りこんでしまい、正しく診断できない事もある為、看護師は、撮影の注意事項を熟知しておくことが必要です。

また、妊娠の可能性のある患者さんなどにも配慮をする知識が求められます。

エコー検査

腹部や胸部のエコー検査が行われる事があります。寄生虫や体内に潜む病原体の診断に用いられます。

看護師は、正しい体位で患者さんが苦痛なく円滑な検査がなされるよう機械の施地や準備、検査方法の説明する知識等が必要です。

スタンダードプリコーション

感染の標準的予防策を身につけておく必要があります。

マスクの着用や予防メガネの着用、帽子やガウンの着用、また、患者さんの体液や使用後の検体の処理方法、吐物や排泄物の処理方法などを知っておき、適切に対処する技術を弁えておくことが必要です。

環境調整

感染症内科に入院中の患者さんは、時に隔離されたり、ベッド上安静を強いられることがあります。そのため、活動制限が強いられ環境調整を自分で行えない場合があります。

また、疾患の症状により、落屑物や、排泄物などによりベッドや環境汚染をしてしまう事もあり、看護師が環境調整を行わなければなりません。

リネンやシーツ交換、空調などに配慮する知識や技術が必要です。

まとめ

感染症内科に勤務する看護師は、様々な検査知識やその検査を行う技術、医師の行う検査の介助技術を必要とします。

そして、患者さんの症状や疾患に応じた予防策と、院内感染予防を成す知識を要します。

また、自分もその疾患にかかるかもしれないという認識を持ち、自己管理と自分を護る為の予防知識と医術を習得しておく必要があります。