聴覚音声外科と言う診療科を聞いたことがありますか?

聴覚に関する治療は、耳鼻咽喉科が適応と考えられることが一般的ですが、聴覚音声外科とは、聴覚に障害を有する人々に音声を取り戻す事をサポートする診療科です。

例えば、先天性の聴覚障害や、難聴、腫瘍による聴覚障害などによる聴覚障害を持つ患者さんが、人工内耳の埋め込み術や、腫瘍切除などの根本治療を行う等を担当する専門診療科です。

聴覚に問題を抱えた患者さんに「聞こえる」喜びを回復させる希望と期待のある診療科とも言えます。

耳鼻咽喉科としての知識や技術も必要ですが、此処では、聴覚障害者とのコミュニケーション技術や、聴覚を回復させるための外科的治療に適応できる看護技術も要求されます。

では、聴覚音声外科での看護師の必要知識や技術について学んでみましょう。

必要な看護技術・知識

聴覚障害を有する人々とは、どのようにコミュニケーションを図り、どのような部分に注意したケアが必要なのでしょうか。

また、聴覚音声外科として求められる看護技術とは何があるのでしょうか。

手話や筆談技術

口頭っでのコミュニケーションが困難な場合、会話と言う手法以外での対話が必要となります。

どのような症状で、何に困っているのか、何を考え、何を求めているのかを疎通できなければ、患者さんは閉じこもり、満足感ない療養となります。

しかし、看護師が積極的に自分に関わろうとしてくれれば、患者さんも前向きに治療に取り組むことができます。

聴覚障害を有する患者さんは、手話を学んでいるケースが多く、手話ができればコミュニケーションが多彩に出来ることが期待できます。

特に、先天性疾患や幼少期からの聴覚障害のケースでは、高等な手話や会話以外のコミュニケーション技術を学んでいる場合が多くあります。

手話ができなくても、筆談やパソコンなどにより書くという技法でコミュニケーションが図れれば、患者さんの不安を解消し、満足感を高められます。

平衡感覚の異常に対する配慮やケア

聴覚障害を有する患者さんは、平衡書くにも障害を負うケースが多くあります。

入院という非日常の環境では、転倒や転落、歩行や移動時の違和感などを感じ、不安や怖さ、転倒への懸念を強める場合があります。

よって、環境整備によりいらないのもを周囲に置かず、転倒しないよう整理整頓する事や、床や周辺環境に汚染や濡れ等が無いか注意し、事故回避への試みが必要です。

よって、危険予測に関する知識と、危険を回避できる環境調整が必要です。

また、自分のペースでゆっくり動くことで転倒やめまい、ふらつきなどの症状を緩和できる事を指導する必要です。

心理的ケア

聞こえないことに対するストレスや聞こえないことにより分からないことがあると言うストレスを抱える患者さんに対して、分かるように伝え、分かるまで伝え続ける姿勢が必要です。

時に、聞こえない自分が悪いと「申し訳ない」と感じてしまう患者さんに対して、その方のペースで伝わるよう、同じことを伝える場合でも一人一人の患者さんに合う伝達方法のバリエーションを有し、個別性ある疎通方法を弁えておく必要があります。

伝わることは、患者さんのストレスを軽減する要因とも言えます。

分からないことに対してストレスを感じる患者さんに対して、誠実に伝える、心の支えになる姿勢が大切です。

まとめ

聴覚音声外科では、人が当然と感じている「聞こえる」ということを再現する診療科です。

「聞こえる」「聞こえた」と喜ぶ患者さんと、ともに喜び、コミュニケーションを保てる看護師が求められます。

そして、聞こえない患者さんの思いを理解し、その方のサポーターとして聞こえなくても「分かる」よう配慮出来る看護師が必要です。

もし、自分が突然聴覚を失えば、どのような感情を抱えるでしょう。

当然のように聞こえる私達ですから、その身になる事もなかなか難しいものです。

そのような、想像もつかない世界に居る患者さんに対して、思いやりと配慮が出来る看護師でありたいものです。