もし、勤務中に、日常の生活の中で、急病や受傷により意識を消失し、呼吸が停止した方を目にした場合、あなたは適切な処置で救命活動が出来ますか?

気道確保は、一時救命処置の第一歩で、その方の命を救うために必要な医療技術です。

人間は、生きていく上で呼吸をすることが必須で、心臓や脳、呼吸器系に疾患があったり、急な心停止や意識消失、窒息などでも自力呼吸ができない場合があります。

その処置が早ければ早いほど、救命率は高く、呼吸が出出来ないことによる低酸素症から患う脳へのダメージを軽減する事が出来ます。

看護師が気道確保に関して知識や技術を持っていることは当然のことであり、いつでも落ち着いて実践できるよう訓練が必要です。

では、気道確保について理解し、その後練習を積み重ね、万一の際の救世主となれるよう学習しましょう。

「気道確保」項目達成のためのポイント

気道確保は、心肺蘇生の基本動作で、一時救命処置に必要な技術です。

いくら学んでいても経験や練習を積んでいなければ、実際のパニック状態の現場では冷静に対処する事ができません。

よって、気道確保の知識を学んだ上で、練習や講習への参加が必要です。

必要物品

  • エアウェイ
  • 吸引装置、吸引物品
  • 肩まくらやバスタオル等の気道確保のポジショニング用品

※気道確保は、緊急性が高く、物品なしでも行えます。

観察点

●呼吸状態、意識の有無、バイタルサイン

●口腔内の誤嚥物や閉塞物や痰の有無、舌根沈下の有無
⇒シーソー呼吸がある場合は、気道閉塞を疑い、ヒューヒューと気道閉塞音がある場合は、気管内の異物閉塞を疑う。

●基礎疾患や患者さんの一般状態の確認

●患者さんの体格や年齢

●チアノーゼや末梢冷感などの末梢循環動態

●SPO2、血液検査データ

方法

まず、何故患者さんの呼吸が悪化したのかを考えます。そして、口腔内の異物や閉塞物の確認を行い、咽頭より奥に異物がある場合は除去します。

背部叩打法、腹部圧迫法を実践し、もし除去できない場合は、ハイムリック法を行います。ハイムリック法は、横隔膜を挙上し、肺を圧迫する事で強い呼気を発生させ異物を喀出させる方法です。

口腔内異物の場合は、患者さんの顔を横に向け、親指と人差し指を口腔内に挿入し、ひねるように奥から開口させます。そして、もう片方の手にガーゼなどを巻き掻きだします。

また、吸引機器がある場合は、吸引にて吐物を吸引します。枕やバスタオルなどがある場合は、肩の下に折りたたんで挿入し、頭部を下げる体位にします。

※頭部後屈・頸部挙上姿勢(頸椎損傷の可能性がある場合は禁忌)

肩まくらなどがない場合は、患者さんを仰臥位にし、患者さんの前額部に片方の手を当てて、もう片方の手の人差し指と中指で顎先を拳上します。

※頸椎損傷の疑いがある場合は、頭部後屈は行わない。

下顎を挙上する方法もあります。両手の親指を両口角の下方に当て、他の4指を、耳側の下顎部に当て、下部歯列が上部歯列より前にくるよう拳上させます。

これらの方法で気道を確保し、エアウェイがあれば、エアウェイにて気道確保します。

エアウェイを用いた気道確保

■経鼻エアウェイ
顔面に対して垂直に挿入します。挿入が荒いと、鼻出血の原因となる為、顔面に沿わせて優しく挿入します。意識や反射のある患者さんにも適応可能です。

■口腔エアウェイ
頭部後屈し親指と人差し指で奥歯の方よりねじるように開口させ、エアウェイを逆向きに挿入します。

そして、突出した方を下にすべらせるように進め、深さが咽頭部まで挿入出来たら、180度回転させて挿入します。挿入すると、下顎角に両手を当て上方に押し上げながら、親指でエアウェイの後端を押し込みます。

昏睡状態、意識消失状態の時に使用します。

⇒注意点
エアウェイ挿入時、舌などで押し出そうとする動きや意識の回復様動作が見られれば、危険が無いようエアウェイは、除去します。気管内異物が動いている場合、声門部に達し完全閉塞する場合があります。

まとめ

気道確保の概要を理解できたでしょうか?

知識として学んでも、技術として実践できなければ机上の空論です。そのため、迷わず、自信を持って気道確保できるよう練習が不可欠です。

また、気道確保により状態が回復した患者さんも、予断を許しません。

全身状態の観察、呼吸状態や意識状態の観察、各種検査や治療を円滑にするために、その時の状況を充分に把握し、その後のケアや処置がスムーズにいくよう情報提供、治療参加をすることが求められます。