ベッドメイキング・リネン交換は、患者さんの快適な療養生活に関わる重要事項です。
家とは異なる環境で生活を余儀なくされる患者さんは、寝床も食事もベッドになり、その環境だけでストレスを感じるものです。
そのため、療養によるストレスが少しでも軽減できるよう、綺麗なベッドで快適な生活できるよう支援が必要になります。
また、汚染したベッド環境は、病状の回復を妨げたり、闘病意欲の減退にもつながります。不潔な状況は、褥創発生要因となり、患者さんに「害」を与える要因にもなります。
このページでは、看護師として知っておきたいベッドメイキング・リネン交換の知識をまとめています。
リネン交換とベットメイキングの違い
一般的に、リネン交換とベットメイキングは同義として扱われることが多いですが、看護の現場では若干のニュアンスの違いがあります。
看護の場面においては、もう患者さんがそのベッドを利用して療養している状態でシーツを交換する場合を「リネン交換(シーツ交換)」、患者さんが居ない状態でベットを整える場合を「ベットメイキング」と呼ぶことが多いです。
ベッドメイキング・リネン交換の重要ポイント
患者さんの個性に合わせた選択
まず、ベッドメイキング・リネン交換には、その患者さんの身体状況や療養に応じた選択が必要です。
活動性のある患者さんに対圧分散マットやエアーマットは活動がしにくいものですが、褥創がある患者さんや寝たきり状態の患者さんには、そのようなマットが必要です。
硬いマットが寝やすい患者さん、腰痛のある患者さん、寝たきりや低栄養で褥創リスクのある患者さん、体動の激しい患者さんなどその方に合うものを選びましょう。
そして、マット以外にも、電動ベッドである必要があるか、電動ベッドでも、頭のみの挙上ベッドで良いか、安楽電動ベッドで頭も足も、高さも変えられるベッドが適しているかなども考慮すべきことです。
そして、自分で歩けつ患者さんに関しては、その方の足がしっかりと地につくベッドの高さに設定する等の物品設定にも配慮が必要です。
プライベートに配慮
そのベッドは、患者さんのプライベート環境であることを十分に理解し、実施前に患者さんの同意を取り、許可を得てから実施するようにします。
そして、リネン交換により患者さんの私物が無くなったなどのトラブルがないよう、貴重品は自己管理してもらうよう依頼します。
実施前に、窓を開け、換気を行い、空気の清浄化を図る
ベットメイキング・リネン交換中は、埃が舞い、空気が汚染するため、換気を行う必要があります。
汚染した空気を吸い込まない為に、看護師は、マスクをして行うことをオススメします。
自分が動きやすい環境を整える
看護師が動きやすいよう、ベッド周囲の床頭台やポータブルトイレ、オーバーテーブルなどの周辺環境物品を少しよけることも行います。
塵や埃を除去する
リネン交換は、ベッドメイキングと同じように行いますが、すでに患者さんが療養してる為、箒や転がすタイプの粘着テープなどを用いて、マットレスパットやマットレスの塵や埃、食べカスなどを取り除くようにしましょう。
手順を守り、崩れないベットメイクを心がける
ベッドのしわは、患者さんの不愉快や褥創の原因となります。しわをきちんと伸ばし、ぴんと張った状態を創り上げましょう。
四隅の三角折りと四角折りの技術を徹底し、患者さんが臥床したり、動いてもヨレないベッドメイクを心掛けましょう。
頭元からメイクし始め、足元を作る際は、充分にしわを伸ばし、ベッドの下に綺麗にシーツを差し込むことで、耐久性あるベッドメイクができます。
ベッドの下になるシーツが綺麗に収められないと、シーツの崩れに繋がります。見えない部分にも気配りが必要です。
時に、体動が激しい、安静が保てない患者さんは、その動きによりベッドが崩れやすい状況となります。
そのような時は、頭元の左右のシーツの隅を結び、足元も同じように左右を、結ぶことでベッドメイクが崩れない対策ができます。
しかし、四隅がずれないと言うだけで、横のずれはある為、適宜左右のシーツの横部分のしわを伸ばし、入れ込む作業は必要です。
リネン交換後はしっかり環境調整
動かした物品を元に戻し、患者さんが生活しやすい環境に戻すことも必要です。
どこに何があったかを覚えておくことも必要ですし、どこに何を置くかを聞きながら患者さんのニーズに合う環境調整で終了することも必要です。
自身の腰への負担を考慮
ベッドメイキングやリネン交換が腰痛の原因となる場合があります。
ベッドメイキング・リネン交換の際は、ベッドの高さを自分の腰辺りまで上昇させ、中腰などの腰に負担とならない工夫をして行うようにしましょう。
まとめ
ベッドメイキング・リネン交換は、患者さんの安楽や快適に直結するケアです。本当であれば入院なんてしたくないと言う患者さんばかりの病院で、満足できる療養を支える為に大切なケアです。
新人看護師は、特に、シーツ交換から仕事を開始することが多く、これを雑用と感じるケースもあります。
しかし、このリネン交換という機会は、患者さんとコミュニケーションを図る良い機会となることもあります。
会話をすることで、看護に活かせる情報を得たり、患者さんの信頼を獲得するきっかけとなる場合もあります。看護師としての成長を果せる良いきっかけともなるのがリネン交換です。
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