自分にとって、安楽な姿勢とはどのような姿勢ですか?もし、自分が自分の力で安楽な姿勢が取れなくなった時、どのような苦痛を生じるでしょうか。
また、動きたいと感じた時に動けない苦痛に対して考えたことがありますか?
良肢位とは、筋肉や関節に負担の少ない姿勢で、寝たきりや活動制限に対しての二次的合併症を予防するための体位です。
患者さんは、この姿勢保持により安楽な心地よさと呼吸のし易さ、循環動態の安定をはかられます。
しかし、この姿勢が保たれないと、褥創の発生や呼吸器合併症、精神的ストレスの重責に繋がり、これは、治療や状態回復を遅延させる要因ともなります。
よって、看護師が良肢位について理解しておくことは患者さんの、身体回復を促進し、快適な療養を促すケアに繋がります。
では、看護師の必要とする良肢位への理解を進めましょう。
良肢位保持の目的
良肢位を保持でいることは、身体的負担を軽減し、患者さんの合併症予防、褥創予防、心肺機能の回復、安楽な姿勢保持へと関われる看護ケアの一つです。
廃用症候群や四肢や関節の機能低下を遅延さえ、患者さんのリハビリテーションや機能回復に関われる行為です。
必要なものは、タオルやクッション、小まくらだけで済みます。患者さんの身になりケアできることが最も重要な心掛けです。
良肢位保持の方法
まず、患者さんの身体的状況を理解します。
何故、自分で体位を交換することが出来ないのか、今後自分で出来るようになる可能性のある患者さんなのかそうではない患者さんなのか。
患者さんの麻痺や関節拘縮、関節可動域制限の有無や、骨・筋・神経系の疾患や病歴・手術歴の有無を把握します。
そして、その方の体格や身体状況に応じたクッションやまくらを用い、良肢位介助を行います。
また、看護師が良いと思って介助した体位が患者さんにとって苦痛や痛みの原因となることもあります。施行後は必ず「痛いところはないか」「窮屈なところはないか」「こうして欲しいなどの意向はないか」を確認します。
意識状態や認知機能、言語障害などで訴えられない患者さんに対しては、バイタルサインや四肢の動きや表情など非言語的訴えを充分に観察します。
そして、定期的に観察を行い末梢循環に異常はないか、発赤などの皮膚トラブルはないかなどを観察します。
良肢位の角度
肩関節外転:10~30度
肘関節屈曲:90度
手関節背屈:20~30度
股関節屈曲:10~30度
内旋・外旋中間位外転:10~15度
膝関節屈曲:10~20度
足関節・底屈:0度
良肢位保持の注意点
良肢位保持が自力で困難という場合は、リネンや環境調整も困難な場合があります。
湿潤や汚染環境は褥創発生要因や病状回復遅延に関わる為、リネン交換や環境調整のケアも合わせて行いましょう。そして、体位変換としての良肢位保持は、1~2時間置きに行い、褥創を発生しない取り組みを行いましょう。
また、実践した後は、シーツや衣類のしわを伸ばし、このしわやずれが褥創発生の原因とならないよう対策します。
そして、体位変換や良肢位保持により肺合併症予防も行えます。
肺に心配があったり、寝たきり状態の患者さんには、変換と同時に呼吸器ケア、肺理学療法などのタッピングやスクイージングケアを行い、より患者さんの寝たきり合併症予防へのケアがなされると有用です。
筋力低下予防や尖足予防のための可動域訓練や、足底への枕保持により足底への配慮も行うとよいでしょう。
また、寝たきり状態は腰痛の原因となります。姿勢をぴんと張った状態では窮屈感を感じます。自然な体位保持も為にも腹壁に緊張を感じない緩やかな姿勢を心掛けましょう。
まとめ
良肢位とは、安楽な姿勢を意味しますが、何が安楽かと言うと患者さんの思いが最も参考になります。この人には楽かもしれないけれど、別の人にはそうではないかもしれないとの認識も必要です。
何を用いてどのように介助するかをアセスメントする力が必要です。
また、思いを言えない患者さんは、モニター波形や四肢、末梢、皮膚が思いを発してくれることがあります。
重要なのは観察力です。患者さんは、看護師のきめ細やかな配慮と観察により良肢位保持を期待しています。
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