高齢者が増える中、医療機関を訪れる患者さんもお年を召した患者さんが増えています。

加齢の為に心身を痛めた患者さん、複数疾患により身体を病めている患者さん、認知症により理解力の低下した患者さん、疾患後遺症により要介護状態の患者さんが多くいます。

老年科として立ちあげられている医療機関はそう多くはありませんが、診療科の中には高齢者の入院や来院が多く、高齢者に対する認識や、高齢者の特性を理解した関わりが求められる場面が多々あります。

では、高齢者を対象とする診療科や老年科における看護師に求められる知識や技術とは何があるでしょうか。

必要な看護技術・知識

高齢者の特徴として、身体機能の低下、精神的脆弱、認知機能の低下、複雑化する疾患、典型的な症状を成さない等の特徴があります。

よって、同じ疾患でも同じ経過を辿ることが無く、急変や急病を来たす場合があります。

その方の特徴や特性を理解した看護が必要です。

セルフケアの介助技術

療養中の高齢者は、自分の慣れた環境、慣れた日常生活ではなく、身体的機能低下や認知力低下により、転倒や事故等を起こすリスクがあります。

よって、日常生活支援が安全になせるよう、支援が必要です。

その方の残存機能やセルフケア力をアセスメントし、過介助にならないよう、食事、排せつ、身体の生活、環境調整の支援が必要です。

また、疾患により安制度などの指示があります。その指示を護り、安全に療養できるようサポートする技術が必要です。苦痛なく看護ケアが成せる技術の熟練も看護師の求められます。

理解できる説明技術

高齢者は、ひとりひとり理解力が異なります。理解力があっても、難聴や言語障害、視力障害等により、伝わりにくい場合があります。

よって、その方の理解力と、認知力、把握しうる方法を理解し、個別性ある説明を必要とします。ただ、言葉で説明するのではなく、その方の分かる方法で説明するアセスメント力も必要です。

家族相談の対応技術

高齢者の入院には、家族の協力が必要です。その方の退院後の生活や介護に関する関わりを求めなければならない事もあります。

また、家族自身が患者さんの今後の生活に不安を抱える場合もあります。

そのため、患者さんの家族の思いに寄り添い、その問題点や不安に応えられる知識や技術が必要です。

認知症患者さんとのコミュニケーション技術

認知症患者との対話は、一般の成人との関わりでは問題を生じることがあります。

分からないことが増えた、出来ないことが増えた患者さんに対し、それを感じさせないさり気ない言葉掛けや関わりが必要です。

「何で出来ないの」などとは禁忌です。「こうしてみますか」などと、行為が出来る導きを行う言葉が必要です。

また、徘徊や混乱を来たす患者さんに対しては、無理強い、その行為の停止を強要せず、安全を確保できるよう見守ったり、気分を他へそらせるようなコミュニケーション技術で患者さんを守れる技術が必要です。

まとめ

老年科に入院する患者さんは、人生の先輩です。

認知症でセルフケアが出来なくなった患者さんも、長い人生があります。そして、プライドや尊厳があります。

倫理的要因に配慮し、その方が自分らしく生活を維持できる関わりが看護師には求められます。優しく温かく、その方のペースを守れる支援力が求められます。