腎臓疾患や代・排泄器官に問題を抱える患者さんの命をつなぐ選択として人口透析という選択肢があります。

人工透析という治療は、週何回、何時間という定期的に自分の時間を拘束される治療であり、患者さんの自由を縛り、苦痛を伴う治療です。

しかし、この治療が無ければ、代謝・排泄・血液循環を保てず、生命の危機に陥らせかねないものです。

この人生を左右し、医療管理と自己管理を要する人工透析科で求められる看護師の知識や技術はどのようなものがあるでしょうか。

そして、一生し続けなければならない人工透析治療を行う患者さんを支えられる看護とは何があるでしょうか。

必要な看護技術・知識

人工透析科での看護は、透析業務が円滑に進むよう、機器管理や透析の実行、患者さんとのコミュニケーションや安楽ケアにより、透析中の苦痛が無いよう配慮できる看護技術です。

透析前後の全身状態の変化により、急変や意識異常を来たす患者さんもいる為、充分な観察力や異変を察知する力も必要です。

穿刺技術

血液透析では、専用の針による穿刺が必要です。

通常の採血や血管確保技術ではなく、太い穿刺針を痛みなく穿刺できる技術と、その太い針を刺すことに対する不安を感じさせない熟練した対応技術が求められます。

穿刺前に痛み止めのパッチを張り、その痛みが軽減できるよう支援したり、痛みから気がそらせるよう関われる知識や技術が必要です。

そして、透析回路を組み、安全に血液浄化が図れるよう機器管理や透析業務の一連の流れを知っておくことも必要です。

セルフケア指導

人工透析科にかかる患者さんは、日常生活に注意が必要です。

腎臓疾患を抱える患者さんは、食事制限や活動制限があります。また、糖尿病患者さんには、食事指導、運動指導、日常生活に関する指導が必要です。

この療養上の注意点が守られないと、病状を悪化させたり、治療結果を良いものと出来ないことがあります。

よって、その方の抱える基礎疾患を理解し、個別性ある生活指導とその方が守られる療養上の工夫が教育できるバリエーションある知識が必要です。

急変や異変の対応技術

血液浄化中に、血液低下やショック状態を来たす場合があります。患者さんの状態を観察し、異常早期発見、対処が早期に行えるよう配慮が必要です。

そして、異常時にはどのように対処すれば良いかというマニュアルを熟知し、日ごろから何かあった時の対策が出来るよう訓練しておくことも看護師に求められます。

また、異常を発見するために、モニターを読み取り、アセスメントする力や判断力、患者さんの観察力が必要です。

コミュニケーションスキル

痛みや拘束により苦痛を感じる患者さんの退屈や苦痛を緩和できるようコミュニケーション技術を習得しておくことが求められます。

ここでは、いつも定期的に訪れる患者さんが多い為、顔見知りの方が多いです。仰々しい対応ではなく、気さくに日常の会話が楽しめ、透析に来ることが方っ苦しくないと感じられるアットホームな対話力が求められます。

その方の興味や関心のある会話、ニュースや事象を知識として知り、透析中に退屈と感じさせないコミュニケーション支援が必要です。

そして、会話や関わりをしていたら、患者さんの急変や異常に早期に気づくことができます。異常早期発見の点においても、透析科ではコミュニケーションが大切となります。

まとめ

透析科に来る患者さんは、透析という治療が日常の一部となっている患者さんばかりです。透析技術の下手な看護師、上手な看護師を知っており、自分の合う看護師や自分と合わない看護師もよく知っています。

ここでは、患者さんに不快を与えない看護技術と、感じの良い対応力が必要です。

一人一人の性格や特性を考慮し、長く続く治療を支える為に、個別的な対応を求められる診療科といえるでしょう。