人が、生きている徴候の一つである呼吸ですが、いつも一定ではなく、身体的状態の変化、精神的状態の変化、また、呼吸器系、循環器系、代謝・分泌系などの様々な疾患により影響を受け、変化しています。
看護師は、その変化にいち早く察知し、異常早期発見や、安楽な呼吸へと看護ケアを行う事が求められます。
どのような呼吸が普通であるかは、その患者さんの状態、年齢、生活背景等により異なり、どのような状態が安楽な呼吸であるかもその患者さんにより異なります。
また、その状態をアセスメントし、次に活かす看護を考えるわけですが、何を持って正常か異常かを判断できなければなりません。
呼吸の観察には、単に回数やリズムを読み取るのではなく、その患者さんの状態に応じた観察が必要です。
呼吸器系疾患を有する患者さん、酸素療法中の患者さん、糖尿病性のクスマウル呼吸をしている患者さん、生命の危機にひんしている患者さんの呼吸など、その状態は様々です。
また、異常ある呼吸を発見した場合、その知識があれば、この呼吸パターンは○○疾患の予兆かもしれないと気付くこともできます。
呼吸状態の観察方法
呼吸状態の観察は、基本的にバイタルサイン測定時に同時に行います。
また、呼吸状態は、患者さんの意識に左右される為、呼吸状態を観察する事を気づかれないように観察しなければ、緊張やその意識から自然な呼吸を観察できないことがあります。
呼吸回数は、脈拍測定を行った後、その流れで観察する事が自然で、脈を測る延長で、そのままの状態で目線を腹部や胸部に移し、その動きを確認してカウントします。
また、運動や活動、食事や排泄などにより呼吸状態は変化するため、リハビリ後、食事直後、入浴直後、排泄直後の観察は避け、安静時に観察を行います。
必要物品
- 秒針付きの時計
- 聴診器
呼吸状態の観察点とアセスメント
- 呼吸回数、深さ、リズム
- 喘鳴、咳嗽
- 顔の表情に呼吸が苦痛な表情が出ていないか
- 冷や汗、冷汗、口唇チアノーゼなど
- 鼻翼呼吸、口すぼめ呼吸、下顎呼吸、口呼吸の有無
- 肺音、呼吸音、肺の複雑音や痰貯留音の有無
- SPO2や血液ガス検査データ
●呼吸の正常は、成人であれば1分間に15回程度で個人により変化があります。乳幼児、児童では、これより多くなります。
●1分間に20回以上を瀕呼吸、12回以下を徐呼吸と言います。
●成人女性は胸式呼吸が多く、新生児から乳児・高齢者は腹式呼吸が多いです。
●呼吸のバランスは、吸気:呼気:休止期=1:1.5:1となっています。
●呼吸回数は正常で深さが深い呼吸を過呼吸と言い、深く遅い呼吸をクスマウル呼吸と言います。
●聴診は、左肺は上葉と下葉、右肺は、上葉、中葉、下葉の聴取を行い、下葉は側胸部や背部の聴取が必要です。
●笛のような高い肺雑音を笛性音と言い、バリバリと言う音を捻髪音と言います。
異常呼吸
●呼吸回数と深さの異常
頻呼吸:回数の増大
過呼吸:回数が正常で深さが強まる
クスマウル呼吸:深く、ゆっくり
徐呼吸:ゆっくりな呼吸
●雑音を伴う呼吸
喘鳴性呼吸:喘鳴を伴う呼吸
閉塞性呼吸:COPDなどの閉塞性肺疾患の患者さんの行う呼吸
喘息性呼吸:喘息発作の際の呼吸
まとめ
異常呼吸は、多くの種類があります。この種類を知っていると、予測的な看護が行え、いざという時の対処が早期に行えます。
どのような呼吸が異常で、それば何を示しているかを知って観察する事をお勧めします。
また、呼吸状態の悪化の際に、どのような処置やケアが必要で、各疾患の呼吸状態悪化では、どのような体位やポジショニング、ケアが安楽な呼吸に結び付くかを考えて看護サービスを提供する姿勢が必要です。
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