精神疾患に対するイメージは、どのような印象がありますか?精神疾患を患う患者さんの世界観は、どのような世界でしょうか。

それを理解しようとする気持ちから、精神科看護は始まると考えられます。

身体は健康でも心のバランスを崩した患者さん、身体的疾患のすえに心悩ませ精神疾患に至った患者さん、その生育環境が原因で精神疾患になってしまった患者さんもいます。

精神疾患に至った経緯は患者さんそれぞれに異なりますが、心が疲弊し、助けを求めていることは分かります。

しかし、助けを求めたくても人間不信や対人恐怖症などにより「SOS」を発せない患者さんもいます。

このような精神疾患を抱える患者さんに必要な知識や技術は何があるでしょうか。

精神科看護に必要な知識や技術をまとめてみます。

必要な看護技術と知識

精神科看護では、一般の診療科看護では通用しないケアや対応を強いられるケースが多くあります。

話してわかる患者さん、話したことを実行できる患者さんばかりではありません。身体的に障害や異常が無くても、正しい療養法、自己管理が出来ない患者さんが多くいます。

診療の介助や医師の指示に基づく医療行為が必要でるが、精神科であるがために創意工夫がなされなければならないことがあります。

また、自閉や自己認識の低下からセルフケア困難に至るケースがあり、日常生活行動を支援する知識や技術、そのケアを受け入れられるコミュニケーションや信頼関係構築への関わりも求められます。

コミュニケーションと感情をコントロールする技術

患者さんの生活や、その人格を創り上げる経過を理解し、少しずつ距離を縮められるコミュニケーションスキルが重要です。

精神科患者さんは、人と関わることに強い抵抗を感じます。新しい看護師や見たことのない看護師は、まず、拒否から始まります。

自己紹介はもちろん、何かをする時には優しく声をかけ、「害」を与える存在で無い事を態度や言動で伝えながら、患者さんの感情に働きかけられる対応力が必要です。

無理強いしない、存在を認めると言う姿勢で、言語のみではないコミュニケーション手法を身につけ、心を開いてもらえるよう関わることが必要です。

与薬技術

精神科患者さんは、拒薬するケースが多くあります。

必要な薬が与薬されないと言う事は、症状を悪化させたり、新たな症状を出現させる原因ともなります。指示された薬が間違いなく確実に与薬されることが重要となるのが精神科看護です。

精神科の患者さんは、嘘や偽りを嫌います。誠実に何故その薬が必要であるかを説明し内服できるよう関わります。

また、その人の精神状況や服薬に関するアセスメントを行い、内服という方法が適切であるかを考え直す知識が必要です。

暴れ、錯乱する患者さんに内服は困難でしょう。状況を医師に報告し、適切な方法で与薬出来るよう観察、報告できる知識も大切です。

レクリエーション技術

精神的に周囲との関わりを閉ざしている患者さんに対して、何かを起こすという方法を治療や看護に用いることがあります。

楽しめる、喜べるという状況は、精神疾患を持った患者さんの回復への促進が図れます。患者さんの性格や特技、やる気に応じた余暇活動を支援できる事が必要です。

患者さんのやる気を高められる支援法として、レクリエーション知識や技術を習得し、その活動が出来るよう支援する力を要します。

例えば、カラオケ、塗り絵、囲碁、俳句、物作りなど、一人一人の特性を理解し、その活動が出来るよう調整、準備する事も看護師に出来ることです。

まとめ

精神科では、看護師として、患者さんの病状の安定と社会復帰のために何が出来るかを考える姿勢が重要です。

心を病めた患者さんは、拒絶や拒否を示しながらも、人の優しさや思いやりに触れたい気持ちを抱えています。

その方が安全に安心した療養を行い、人を頼ってもう一度歩み出す力を与えられる看護師が必要とされる看護師像です。