消化器内科は成人から高齢者まで幅広い年齢層の方を対象とします。

疾患を抱えながら仕事を行わなければならない生産年齢の患者さん、加齢や老年による消化機能低下による高齢の患者さん、入院して集中的に治療を要する急性期疾患や、消化管の機能低下や急性疾患後の継続管理が必要な患者さんなど、その緊急性や医療の必要性は様々です。

そのため、一人一人の全体像をとらえ、ニーズに合う治療や看護が求められる診療科と言えます。

消化器疾患の治療には、まず症状を知り、必要検査をこなしたうえで、原因を特定する事が必須です。

患者さんの理解と協力を求められる事があります。患者さんの不安と苦痛に配慮した関わりで、スムーズな検査、治療開始が求められる診療科です。

必要な看護技術・知識

消化器内科で必要な看護技術は、患者さんの全身状態の観察と、患者さんを苦しめる疾患特定の為の検査の介助や、安楽な療養を支える丁寧な看護行為です。

排泄物の観察

消化器系の疾患では、排尿、排便の回数や量のみではなく、その内容物に血液が混ざっていないか、色や形はどうであるかなどの状態観察が必要です。

時に、検査の為に絶食や下剤を用いた前処置を行う事があり、正しく検査や治療を行う為には、新人看護師でも正常な排泄物の知識を持ち、異常早期発見に対応できなければなりません。

腹部症状の観察

痛みの有無、どのような時に痛いのか、排泄物の性状はどうか、胃痛、胃もたれ、便秘、腸ぜん動の状態、胸やけ、食欲不振、倦怠感などの全身状態などの観察も必要です。

また、消化管が上手く動いているか、聴診器による観察や触診による腹壁状況の観察も必要な場合があります。

点滴処置

消化器内科に入院する患者さんは、消化管の負担軽減の為に絶食となったり、点滴による水分や栄養補給をする場合があります。

よって、熟練した点滴ライン確保により、苦痛なく穿刺し、点滴療法が成される事を求められます。

新人看護師に点滴される事は、患者さんにとって、緊張であったり、不安を感じる事もあります。

点滴の必要性を充分に説明できる知識と、練習を繰り返して失敗しない処置により、患者さんが安心出来るよう関わる必要があります。

中心静脈栄養の留置介助や管理

絶食、消化管安静を長期にようする患者さんは、必要エネルギーを点滴剤により摂取します。

その高エネルギーは、末梢血管確保では対応困難である為、中心静脈にCVラインを取る場合があります。

鼠茎、鎖骨か、内頸などを選択し、医師により穿刺、固定されますが、その清潔管理や、感染予防の為の管理、薬剤滴下などの管理を看護師が行うようになります。

内視鏡検査の介助

内視鏡は、口腔より挿入する胃カメラや、肛門より挿入する大腸検査などが一般的です。

この検査に対応する看護師は、痛みや苦痛、羞恥心を伴う検査である事を理解し、安全に、安楽に実施できる事が求められます。

その検査の手順もですが、その危機の管理方法や使用前使用後の処置、患者さんの前後の管理にマニュアルがある為、熟知した実践が必要です。

食事をとれない患者さんの精神的支援

人間、口から物を食べ、肛門や尿道より排泄する事が当然のことと思われがちですが、それが叶わない疾患になった消化器系疾患の患者さんがいる診療科です。

食事が出来ないストレスは多大なもので、時に錯乱や混乱を来たしたり、我慢が出来ずに隠れて食べてしまう患者さんもいます。

このような患者さんの精神的支えとなり、コミュニケーションや、気分転換を支援する事で、効果的な治療継続が出来るよう関われる事も必要です。

まとめ

消化器内科に入院する患者さんは、その疾患により健康状態や治療がかなり異なります。

命に危機にひんする重症者、日常生活を継続しながら療養可能な軽症者などさまざまです。

一人一人の状態と生活背景、全身状態を充分にアセスメントし、安全に、安楽に必要検査を治療が成されるようサポートするのが看護師の役目です。

病気による不安や恐怖を抱える患者さんは、その精神的ストレスにより、胃炎や胃潰瘍などの合併症罹患となってしまう事もあります。

患者さんのニーズやストレスに対応できる事も看護師に求められる事ではないでしょうか。