病状が安定し、急性期病棟から転所してきた患者さん。もともと慢性期疾患を有し、その症状増悪や、生活や療養指導の為に教育入院される患者さんが入院する場所が、慢性期病棟です。

ここで働く看護師は、患者さんの健康レベルや年齢、病状により様々な看護ケアや治療を経験します。

呼吸器、消化器、循環器などの内科系疾患を抱え、その病状安定や状態管理が行われるよう、医療ケア、看護処置が行われます。

疾患についても、療養に関しても自分の事が自分で出来る患者さんもいれば、医療行為を必要とし、日常生活に関しても介護や看護を要する患者さん等、その看護必要度は様々です。

看護師として多くの実務経験が出来、医療職者としても看護職者としても多くを学ぶことが出来る医療の現場です。

では、慢性期病棟における看護師の必要知識や技術について理解しましょう。

必要な看護技術・知識

慢性期病棟とは、疾患と長く付き合い、病気とも病院や医療職者とのかかわりにも慣れている患者さんが多い特徴があります。

生活習慣病を抱え、その治療や療養法を学び、実生活に活かす為の教育入院を行う患者さんや、在宅には帰れない医療行為を継続して必要な患者さんが入院します。

その方の病状や、身体状況、看護レベルにより、その支援内容や関わり方に変化や工夫が必要です。

酸素吸入の知識や技術

呼吸器系疾患を有する患者さんや心疾患を抱える患者さんに行われる治療として酸素療法があります。

酸素療法は、患者さんの安楽な呼吸や全身状態の改善のために行われます。患者さんによっては、その窮屈さ等から嫌がる患者さんもいます。

正しくマスクやカニューレを装着し、安楽な呼吸により全身に酸素を充分に送れるよう観察と実践する知識や技術が必要です。

また、酸素療法には火器の取り扱いに注意が必要で、その管理や取り扱いに知識が必要です。そして、安全に酸素療法が行われるよう患者さんの協力や患者さんへの説明指導を求められます。

さらに、その方のADLや、病状に応じ、その方の生活に支障のない方法を選択する必要があります。

自分で動ける患者さんに酸素マスクで活動抑制してしまう事は、患者さんの精神的負担になりますし、呼吸状態の悪い患者さんにカニューレでは、酸素の不足となります。

状態をアセスメントし、適切な方法で治療が出来ることを支援します。

また、粘膜ケアや喀痰に対する配慮のために、蒸気を用いた呼吸ケア等を追加するなど看護知識や技術を持って安楽な呼吸を促すケア知識があればより、患者さんの苦痛を取り除けます。

経菅栄養実施の技術

慢性期病棟では、嚥下力や咀嚼力に問題を抱え、経菅栄養を行う患者さんもいます。

高齢者が多く、経菅栄養中のトラブルが無いよう、安全管理を行いながら必要な栄養摂取の介助を行う必要があります。

マーゲンチューブの挿入に関しては、患者さんの苦痛を伴います。よって、速やかに挿入できる熟練した技術と、その必要性を理解できるよう説明も必要です。

そして、正しく挿入されているかを聴診器で聞き取る技術、安全に抜けないように固定する技術も必要です。

また、一度挿入確認しても、患者さんの食事は一日三食あります。毎回確実に胃に挿入されているかを確認して、栄養注入が出来る技術が必要です。

そして、栄養については時間をおけば腐食の原因となったり、挿入速度我は止めれば下痢の原因ともなったりします。このようなトラブルが生じないよう、基礎知識を持って経菅栄養の食事支援が出来る知識と技術を要します。

生活指導を行う知識

慢性期疾患では、在宅に帰り、それでも通院や正しい療養法を継続されなければ再入院となるケースが多くあります。

よって、入院中に療養に関する知識を習得して退院して貰う必要があります。

服薬法、活動や仕事の注意点、栄養や食事法、在宅で酸素を行う際など、患者さんの疾患や病状に応じた生活指導を行う知識が必要です。

安楽ケア

慢性期病棟で、長期の入院をしている患者さんは、療養に関して苦痛やストレスを抱えている場合があります。

よって、体位変換できない患者さんには体位変換や離床ケアを、身体の清潔が保持できない患者さんには、清拭やシャワー、入浴介助を多名います。

また、排泄がトイレで出来ない患者さんには、おむつ交換や陰部洗浄などの排泄ケアを行います。

その方のストレスを軽減できる安楽ケアや安楽法の実践が求められます。足浴や、マッサージ、コミュニケーションを行う事でも患者さんに安心感や癒しを与えることができます。

寝たきり患者さんには特に、痛みや苦痛のない、少し刺激を与えられるような看護ケアが出来る知識や技術が必要です。

まとめ

慢性期病棟に入院する患者さんは、その人の生活背景や身体的特徴を理解し、その方のニーズに応じた支援が必要です。

教育入院の患者さんと、療養管理が必要な要介護者に対するケアは全く異なります。患者さんの観察力と患者さんの求めるケアを知ることも必要です。

長期になる療養が、快適であるように環境調整や五感を刺激するケアを出来れば、患者さんの満足度を挙げられる関わりが出来るでしょう。