1.目的と適応

皮膚、筋肉、静脈内に直接薬剤を投与する方法。大きく分けて、以下の4つの方法がある。

注射の種類

  1. 皮内注射
  2. 5~15度の角度で穿刺、針:26~27G、ツベルクリン反応・アレルギー検査

  3. 皮下注射
  4. 10~30度の角度で穿刺、針:24~27G、ワクチン接種・インスリン

  5. 筋肉注射
  6. 45~90度の角度で穿刺、針:23~25G、鎮痙剤・抗けいれん薬

  7. 静脈注射
  8. 15~20度の角度で穿刺、針:21~23G

2.必要物品

皮内注射・皮下注射・筋肉注射

  • 注射指示票
  • 手袋
  • アルコール綿
  • シリンジ
  • 注射針
  • 薬剤
  • お針箱
  • トレイ

静脈注射

  • 注射指示票
  • 手袋
  • アルコール綿
  • シリンジ
  • 注射針
  • 薬剤
  • お針箱
  • トレイ
  • 駆血帯
  • 止血用テープ

3.手順

皮内注射・皮下注射・筋肉注射

  1. 必要物品を準備する
  2. 穿刺部位を決める
  3. ・適切な体位をとらせる(筋肉注射:肘を曲げ、腰に手を当て上腕を固定する)
    ・筋肉注射では、肩峰から3横指下のやや前面、臀部では腸骨前上棘と腸骨後上棘を結んだ腸骨前上棘から1/3の点

  4. 消毒する
  5. 穿刺部位を中心部から外に向けて円を書くように消毒する

  6. 皮膚を伸展させる
  7. 穿刺する
  8. ・筋肉注射では、穿刺部に触れないように筋肉をつまむ
    ・針は全長の2/3程度を刺入させる
    ・逆血がないことを確認する
    ・痛み、痺れがないか確認する

  9. 薬剤を注入する
  10. 抜針する
  11. 筋肉注射では、薬剤の吸収を促進させるために穿刺部位をよく揉む

静脈注射

  1. 必要物品を準備する
  2. 穿刺部位を決める
  3. ・適切な体位をとらせる
    ・親指を中に入れ、グーに握ってもらう

  4. 駆血帯を巻く
  5. 消毒する
  6. 穿刺部位を中心部から外に向けて円を書くように消毒する

  7. 皮膚を伸展させる
  8. 穿刺する
  9. ・逆血を確認し、針を刺入させる
    ・痛み、痺れがないか確認する

  10. 駆血帯を外し薬液を注入する
  11. グーにしている手を広げてもらう

  12. 抜針し、穿刺部位に止血用テープを貼る
  13. 5分程度患者自身に穿刺部位を抑えててもらう

4.合併症

  • 皮下出血
  • 十分な止血処置が行われないと血管内から皮下へ血液が漏れ出し、皮下出血となる。
    医療者側の原因として、技術不足などがあり、患者側の原因としては、血管がもろい、血小板低値、抗凝固薬内服などが考えられる。

    ・抜針後、十分な圧迫止血を行う。
    ・ワーファリンなど抗凝固薬内服の有無を確認する。
    ・万が一、皮下出血が発生した場合は、自然に吸収されるため問題ないことを患者に伝える。

  • 神経損傷
  • 血管と神経は併走していることが多く、穿刺により血管損傷の原因となりやすい。

    ・神経の走行を学習し、なるべく深部の血管を穿刺しない。
    ・痛みや痺れを訴えた場合は、直ちに抜針する。
      

  • 血管迷走神経反射
  • 採血に対するストレスや恐怖により迷走神経を刺激して、迷走神経の興奮が血圧低下、徐脈、気分不快などの症状を呈する。

    ・気分転換やストレスの軽減に努める。声掛けや説明を十分に行う。
    ・症状出現時は、仰臥位にバイタルサインの測定を行う。
      

  • 針刺し事故
  • 患者に使用した針を誤って医療者側に刺してしまう医療事故である。B型肝炎、C型肝炎、HIVなどの感染暴露が問題となる。

    ・リキャップはしない。
    ・針刺し事故が発生した場合は、直ちに血液を絞り出し、十分な流水で洗い流し消毒する。
    ・院内の針刺し事故マニュアルに準じて対応する。

  • 薬剤アレルギー
  • 事前にアレルギー歴を確認し、症状出現時は医師へ報告する。

ワンポイントメモ

「5R」の確認!!

  1. 正しい患者か
  2. 正しい時間か
  3. 正しい薬剤か
  4. 正しい量か
  5. 正しい方法か