小児看護専門看護師とは

役割

小児看護専門看護師には怪我や病気などがあったときに免疫や耐性が未成熟な子どもたちが健やかに成長、発達できるように看護面から支援し、他の医療スタッフと連携して質の高い看護を提供する役割が求められます。

また、小児の看護だけでなく、親など家族の不安を和らげるためにも、適切な説明や指導を行う役割もあります。他にも、現在対応している病気だけでなく、発育に応じてかかりやすい病気や対処方法や定期診断のお知らせなど、小児の看護とともに親や家族への教育的役割があります。

求められる専門知識や技術

小児看護専門看護師には小児がかかりやすい病気の知識や処置の方法などの他、年齢に応じた各種病気の予防策として予防接種の実施や、医薬品に関する知識など、幅広い分野の知識が必要となります。

病気によっては併発したり後遺症となる場合などもあるため、関連する分野の医療スタッフと協働することや、小児の行動や発言からちょっとした異常も見逃さない、細かな配慮も必要です。

また、病院や治療を嫌がる小児は多いため、なだめたり、注意を逸らして大人しくさせるなど、小児をあやす能力も求められます。

小児看護専門看護師になるには

資格取得方法

小児看護専門看護師となるためには日本の看護師免許を有し、免許取得後に実務経験が5年以上あり、そのうち3年以上は小児期にある患者に対する小児看護の実務経験があることが必要です。

その小児看護分野の実務研修の実績報告書として、直接的な看護の実践を2例、看護職を含むケア提供者に対するコンサルテーションを1例、ケアを行う保健医療福祉関係者間のコーディネーションを1例、看護師などに対する教育を実施した教育活動を1例、報告書を提出する必要があります。

その上で看護系大学大学院修士課程や関連領域の大学院修士課程において定められた科目の単位を取得し、教育課程で取り組んだ論文等の研究報告が必要です。

以上の必要要件を満たし、小児看護専門看護師認定審査を受け、書類審査と筆記試験に合格すれば、小児看護専門看護師となれます。

資格保有者数

2014年2月20日現在、専門看護師資格を認定管理している公益社団法人日本看護協会に登録されている小児看護専門看護師の資格保有者数は119名です。

難易度・合格率

小児看護専門看護師の合格率は90%前後とされており、実務研修とそれに伴う実績報告書の提出、指定された教育機関での教育課程において十分な研究を積み重ねることができれば、十分合格できる難易度の試験です。

実務経験や教育機関での課程は、しっかりした目標意識や覚悟が無ければ簡単にクリアできるものではないため、それらをクリアした看護師にとってはそれほど難しいものではないようです。

小児看護専門看護師の資格取得後

活躍できる職場

小児科のある病院や大学附属病院などが、小児看護専門看護師の多く活躍している現場です。また、小児医療センターやこども医療センターなど、小児を中心に診ている医療機関でも活躍しています。

他には独立行政法人の国立成育医療研究センターや、リハビリテーションセンターなど、病気や障害を抱える子どもの看護現場で活躍しています。子どもの多い都市部や医療機関が集中している地域などで特に必要とされ、また活躍しやすい傾向にあります。

■将来性

病気や治療の必要のない子どもは少なく、公害などの環境問題もあり、小児看護はいつの時代も必要とされる医療です。

抵抗力がない小児はちょっとしたことで病気になりやすく、またその症状も悪化しやすいため、早期に慎重に対応する必要があります。そのためには医師による治療だけでなく小児看護に精通した小児看護専門看護師が看護することで、症状の早期発見や悪化を防ぐことにつながり、また、小児患者だけでなく家族にも理解してもらい、家庭でできるケアなどを説明することで少しでも状況の改善につなげることが重要です。

子どもの病気や怪我は成長過程において後々まで影響することもあり、できるだけ後遺症が残らないように対応する必要があることから、小さな子どもがいる地域の医療現場では非常に頼られる存在となるでしょう。