がん看護専門看護師とは

役割

がん看護専門看護師はがん患者の身体的、精神的な苦痛について理解し、患者やその家族に対して質の高い看護を提供する役割が求められます。

また同時に、患者やその家族の方の不安を和らげるコミュニケーションや、できるだけQOLを考えた看護を提供することも求められます。そのために患者やその家族はもとより、医師や介護者などその他の保健医療福祉に携わる関係者との協力を図り、さまざまな問題について解決します。

その一方で、他の看護師の質の向上のための教育や指導を行うことや、進歩する医療技術や看護に対応することができるよう、自身のがんに関する専門知識や看護技術の向上、開発を進めるために看護の実践の場で研究する必要があります。

求められる専門知識や技術

多種多様ながんがありますが、がん看護専門看護師にはがんに関するあらゆる知識が必要なことはもとより、その知識を活かして患者に安全・確実な治療や看護を提供する技術が必要です。

また、新たな医療知識や看護技術を研究することや、後輩看護師の教育や指導、適切なコミュニケーション能力なども求められます。

がん看護専門看護師になるには

資格取得方法

がん看護専門看護師になるには、まず日本の看護師免許を持っていることが必要です。

その上で看護系大学院修士課程を修了し、日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定単位を取得することと、看護師免許を取得した後の実務研修が通算5年以上であり、そのうち3年間はがん患者の多い医療機関などでかん看護分野の実務研修であることが必要です。この勤務年数については常勤も非常勤も関係なく、通算時間を満たしていれば問題はありません。

また、その実務研修の間に看護実績報告書として実践が2例、コンサルテーションが1例、コーディネーションが1例、倫理調整が1例と教育活動報告、修士論文等研究報告書を提出することが必要です。それらの必要条件を満たすことで、がん看護専門看護師の認定審査を受けることができます。認定審査は一次審査が書類審査であり、二次審査は看護実績報告書と論述式の筆記試験です。認定審査で合格すれば、晴れてがん看護専門看護師として認定されます。

資格保有者数

2014年2月17日時点において、日本看護協会に登録されているがん看護専門看護師は514名です。

難易度・合格率

専門看護師認定審査の合格率は95%前後となっていて、合格率は高い傾向にありますが、難易度そのものは高くなっています。それは実務経験とともに各種看護実績報告書の提出、看護系教育機関での教育などといった長く厳しい期間が必要とされるためです。キャリアアップやスキルアップなどといったように志の高い人が努力して受験するからこそ、そうした合格率の高さにつながっているのです。

がん看護専門看護師の資格取得後

活躍できる職場

がん看護専門看護師は一般病棟での勤務はもとより急性期病棟やがん相談支援室、がん治療センターなどといった幅広い職場で活躍することができます。一般病棟においては、内科を中心に消化器科や循環器科、婦人科などのさまざまな診療科で活躍することができます。

また、がん看護専門看護師はその技術の高さやキャリアの面などから師長や副師長となるなど、後輩の指導などを任され責任のある役職に就いていることが多い傾向にあります。近年では特に、がん治療センターなどといったがん治療の最前線で必要とされています。

そのほかにも専門看護師や認定看護師を育成するための教育機関で、講師として後任の育成にかかわることもできます。

将来性

現在の日本では多くの人ががんにかかっていて、病気による死因の中でも第1位となっています。年々増え続けるがん患者の治療にかかわる看護師はどこの病院でも必要とされており、また今後がんの予防や早期発見のためには、医師だけでなくがん看護専門看護師の存在も必要不可欠です。

生活や食の変化による影響があるとされるため、今後ますますがん患者は増えていくと見込まれていて、医療業界において欠かすことのできない存在であることは、間違いありません。

また、専門看護師や認定看護師などは、専門知識や高い技術を証明することのできる資格であり、その取得者に対しては給与や待遇の面で厚遇される傾向にあります。