精神看護専門看護師とは

役割

精神看護専門看護師は様々な原因によって精神的に不安定になっている精神疾患患者やその家族に対して大きな心を持って精神疾患患者や家族と向き合い、会話をしてケアする役割が求められます。

また、専門看護師として看護の実践だけでなく、精神看護分野における看護師等の相談や教育、治療や看護に携わる医療福祉関係者間の調整、患者やその家族との問題解決などの倫理調整、自己の専門知識や技術の向上のための研究など、様々な役割を果たすことも精神看護専門看護師として大切なことです。

求められる専門知識や技術

精神看護専門看護師には精神医学や精神看護の専門知識と共に、その知識を活かすための実際の手法の研究など、患者それぞれに適した看護を提供できる技術が必要となります。

また、患者のことを思いやる心や包容力、聞く力と合わせ、何事にも動じない強い精神力が看護師自身にも必要です。リエゾン精神看護分野で活躍するのであれば、そうした精神看護分野の能力だけでなく、他の診療科の知識や調整力なども求められます。

精神看護専門看護師になるには

資格取得方法

精神看護専門看護師になるためには日本の看護師免許を有しており、免許取得後常勤、非常勤を問わず実務経験が5年以上あり、そのうち3年以上は精神病院や総合病院の精神科病棟や外来、在宅ケア分野での勤務や、精神科クリニックなど精神看護分野での実務経験があることが必要です。

また、精神看護分野の実務研修として、直接的な看護の実践を2例、看護職を含むケア提供者に対するコンサルテーションを1例、ケアを円滑に行うための保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを1例、看護師教育など実施した教育活動を1例、看護実績報告書として報告する必要があります。

その上で、日本看護系大学協議会専門看護師教育課程基準で指定された内容の科目単位を取得することと、教育課程で取り組んだ論文等の研究報告が必要です。

それらの実務経験や看護実績報告書を準備した上で、精神看護専門看護師認定審査を受け、書類審査と筆記試験に合格すれば、晴れて精神看護専門看護師と認定されます。

資格保有者数

2014年2月18日現在、専門看護師の資格認定制度を管理している公益社団法人日本看護協会が公表している精神看護専門看護資格保有者は、177名です。

難易度・合格率

精神看護専門看護師の合格率は90%以上とされており、キャリアアップやスキルアップなど目的意識を持った看護師が受験することから、合格率は非常に高い傾向にあります。

これは、受験資格を得ることそのものが難しく、それらを満たすことができれば認定審査そのものは十分合格できるレベルとされているためです。とはいえ、書類審査は全審査員の点数の平均点が全ての分野において60点以上取れていることと、合計点が600点満点中70%以上である420点は必要であること、筆記試験も200点満点中70%以上である140点以上必要であることから、決して気が抜けるものではありません。

精神看護専門看護師の資格取得後

活躍できる職場

精神看護専門看護師にとっては総合病院の精神科や精神科病院、精神科クリニックなどが一般的な職場ですが、それ以外にも一般病院や福祉介護施設など、幅広い現場で働くことができます。

近年ではうつ病や老年期精神障害など、様々な精神疾患で悩む人が多く、専門家としての精神看護専門看護師は様々な患者から非常に必要とされています。

将来性

ストレス社会といわれる現在、精神疾患で悩む患者は非常に多く、心のケアを必要としています。また、医療を提供する側においても、その仕事の大変さから、心のケアを必要とする人が少なからずいます。そうした中で、様々な立場の患者をケアや医療に携わる関係者の橋渡しができる精神看護専門看護師は、これからもますます必要とされます。

精神科の人材を育てることも医療現場では急務とされていて、そうした後任の育成や指導に当たることができる人材は、多くの医療機関や教育機関が欲しがっており、待遇が良いところも数多くあります。これからキャリアアップやスキルアップを目指す上で非常に活躍できる資格の1つといえます。