夜勤専従に関する労働基準法の適用は、実は明確な記述がないため既にある記述を解釈して行くことで適用することが出来ます。夜勤専従という働き方は割と歴史が浅く、労働基準法の制定より後であるのが理由となっています。
派遣と言う働き方に関しても、ごく最近法律の改正がなされたり新たに法律が作られたりしているため、これから先に夜勤専従に関する項目が新たに付け足されたり、労働基準法が改正される可能性もあるでしょう。
1日の労働時間
交代制勤務で働く場合
労働基準法の大前提として、どの職業でも1日の労働時間は8時間までと定められています。病院の就業規則でも8時間以内におさめて書かなくてはなりません。ここで問題となるのは、看護師と言う職業は変形労働時間制が適用されているという点です。
変形労働時間制と言うのは、1日の労働時間が8時間以上でも労働基準法に違反しない変わった制度です。看護師は夜勤で働く場合、1日の日付をまたいで働くことになりますから、そこで調整が可能となります。
例えば、前日に10時間働いていたとすれば、次の日に6時間働き、2時間時間をずらして「1日8時間」以内におさめてしまうという変則技です。
基本的に変形労働時間制と言うのは1週間単位でこの調整を行いますが、医療機関の場合はあまりにも多くの人が変形労働時間制で働いているため、1か月単位で調整を行っています。
そのため、一見して労働基準法違反のように感じられても、実は変則的に適用されているということになります。日勤と夜勤が不規則に繰り返される働き方をしているため、自分でも労働基準法に合っているのか分からなくなりますが、それは職場側で調整すべきことです。
夜勤専従で働く場合
労働基準法における記載がないため、別の決まりから法律上の適用制限をかすことになります。それは、厚生労働省で定めている診療報酬の入院基本料算定要件という項目です。
厚生労働省における診療報酬において、夜勤専従看護師は最大で1か月につき144時間まで働けることになっています。この制限は、日勤と比べて夜勤は看護師への負担が大きく、あまりに頻繁に夜勤に就くことで心身に過大な負担をかけることから設けられています。
1回の夜勤は12時間から16時間が一般的とされており、16時間と仮定して計算していきます。当然16時間でも休憩を挟んで、場合によっては仮眠時間を挟んで身体を休めるのが前提です。
休憩時間が1時間30分だと仮定すれば、実際の労働時間は14.5時間となりますが、計算する上では16時間のままです。144時間を16時間で割れば、最大勤務回数は9時間と答えが出ます。
休憩時間を計算に入れて具体的に数字を出すと、実質的な労働時間は1か月で130.5時間ほどになります。
労働時間を計算する時に何故休憩を入れるかと言えば、労働基準法で休憩時間に関しても定められているからです。6時間以上の労働をする場合は45分の休憩、8時間以上の労働をする場合は1時間の休憩が義務付けられています。そして、労働基準法に加えて日本看護協会の方で看護師の労働時間について見解を示しています。
それは16時間の夜勤の場合、2時間から3時間の休憩を挟むのが望ましいというものです。普通に休んだり、仮眠時間を取ったりしていれば、2、3時間の休憩はあっという間に終わってしまいます。
これらが労働基準法を含めた法律上の決まり事で、看護協会の見解を含めれば更に夜勤の時間が制限されることになります。総合して夜勤の回数は月9回までとなるのです。
もし、現在の労働時間に不満があるのであれば、上司や医院長に相談してみたり、労働基準監督署に訴えるという方法が取れます。基準となるのが法律であり、プロである看護協会であるため、覚えておけば訴える力は強くなり職場側で考えてくれる可能性が高くなります。
また、144時間より長く働きたいと考える人が増えてきたため、診療報酬規程の変更に伴い、144時間緩和の流れが出来てきています。
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