内科勤務で一番の思い出は、一晩で3人ステルベン(お亡くなりになる)があったことです。なかなかこの経験をしているナースは少ないのではないかと自画自賛してしまいます。

「よくステルベンにあたる」という言い方をしてしまうと語弊があるかもしれませんが、そういう時は重なるものだったりします。というのも、一緒に勤務していた後輩二人はよくよくお見送りを経験する人達で、その日出勤すると廊下ですれ違いに、師長をはじめ日勤メンバーに「頑張ってね」と耳打ちされ、嫌な予感がしていました。

実際にナースステーションに入るとモニターが賑やかで、怪しい波形が見えた瞬間悟りましたね。そして、「この夜勤メンバーということは…何人見送ることになるかなぁ」っと思っていました。

後輩二人も何だか申し訳なさそうにしていたので、「なんとかなるから大丈夫よ、明けない夜はない!」と励まし、お互いに気合を入れました。

この時の当直の先生が馴染みの先生だったので、コールする度に「またここかぁ」とため息をつかれながらもテキパキ動いてくれたのがせめてもの救いでした。そして、他の患者さんも察しているのか、ナースコールが少なく妙に静かでした。

各勤務帯に重なることなくお見送りとなり、食事をとる時間や仮眠もありませんでした。

しかし、なんとか夜勤中にできることをし、翌朝の日勤者も同情してくれて、本来なら夜勤がするべき雑用などすすんで引き受けてくれたので、朝はわりと早く帰らせてもらえました。

よほど私たちが疲労困ぱいし、顔も疲れ切っていたのでしょう。明けに三人で少しだけ飲みに行き、お互い労をねぎらいました。事故もなくて良かったと、見送らせて頂いた患者さんたち、それぞれ短い期間でも看護というかたちで関わらせて頂けたことに感謝して。

さすがに三人次々に見送ると私たちの心にもダメージがありますから、こうやって話をし、お互いに癒すことは大事な時間だと思います。つくづくナースはタフになるなぁっと、実感する出来事でした。