准看護師の数と現状

准看護師の数

日本全国でおよそ37万人の資格保有者がいます。100万人以上がいるとされる正看護師に比較すると、およそ3分の1の人数です。

准看護師の現状

医療機関には、最も多くの准看護師が勤務しており、その割合は全体のおよそ8割にものぼります。また、居宅サービスのほか介護老人保健施設や介護老人福祉施設、社会福祉施設などといった分野では、看護職の中でもとりわけ准看護師について需要が年々高くなってきている傾向もあります。

しかし、看護師教育が充実していて規模の大きい病院では、正看護師を優先的に採用しているケースが多く採用から既にハードルが高くなっていて、キャリアップを目指すにあたってもやや厳しいところがあるかもしれません。もちろん不可能ということはありませんが、一層の自己努力が求められることになります。

採用に関する状況

地域によっては人手不足が深刻になっているため、看護スタッフとして正・准の別を問わず求人が出されているケースも多く見られます。給与や待遇は正看護師の条件を良くしている場合も多いのですが、経営状況が厳しい事業者ですと資金面の厳しさからあえて准看護師を優先的に採用している病院・施設もあります。

准看護師はなくなる?准看護師の今後について

そもそもの准看護師制度は、戦後に深刻となっていた看護師不足を解消する目的で設けられたものです。位置づけとしては、必要最低限の看護技術を持っている者であるとされていました。

准看護師を廃止する動き

昨今の医療においてチーム医療が一般的なものとなってきた中、准看護師についても正看護師と変わらない仕事を任せられることが珍しくありません。現場において豊富な経験を積んでいて高いスキルを持つ准看護師も増え、正看護師と劣らないようなスキルを持つベテランの准看護師については、待遇が正看護師に劣ることを不公平とする意見も多く聞かれています。

そのため、准看護師を正看護師へ一本化しようという提案も既に数年前から提案されていて、日本看護協会でも准看護師制度の廃止を推進しています。

准看護師を求める現場

制度上、准看護師は正看護師に比較して割安な賃金で雇用することができます。そのため、特に中小規模の病院や診療所、クリニックなどで需要が高く経営者からの反発も強いことでなかなか廃止には難しいところもあります。

准看護師制度に関する問題が決着するまでにはまだ時間もかかると見込まれますが、キャリアの長い准看護師に対して正看護師へ移行させる教育支援を整えている医療機関もあります。今後については同様の動きが広がることで、制度の廃止へ向けて動きが加速することも期待されています。

准看護師の将来設計

待遇面で正看護師との差があることから不公平といった指摘もありますが、将来について必ずしも悲観的であるというわけではありません。キャリアアップを目指すことはでき、それによって給与や待遇の改善といったことも期待することは可能です。

看護師免許を目指す

10年以上の経験がある准看護師については、2年間にわたる通信課程を受講することで看護師免許を取得することのできる制度が設けられています。日本看護協会でも、准看護師から正看護師を目指す人にあたって資金面をサポートする奨学金制度などが整備されています。

また、医療機関によっては准看護師から正看護師への移管を推奨していて、積極的な教育支援やサポートも提供しています。やはり働きながらのキャリアアップを考える上では職場環境のほか、さまざまな支援もなければ難しいところがあるのです。