1.退職の申し出

退職を決めたら、すみやかに直属の上司(看護師長など)に申し出るようにします。時期は、事前に病院や施設の就業規則をよく調べておきましょう。民法上では、退職日の2週間前までに、意思を伝えればよいことになっていますが、「退職日の3ヶ月前」など、規定がある場合もあります。

また、退職願さえ出せば、いつ辞めてもよいというわけではありません。業務の引継ぎなどもありますので、少なくとも2ヶ月前には、申し出ておきたいところです。

ちなみに、退職の意思は、最初に直属の上司に伝えるのが筋です。同僚や先輩に相談したり、一足飛びに、看護部長や院長などに話を持っていったりしないようにしましょう。正式に退職が決まるまでは、周囲にも話をしないようにして、混乱やトラブルを避けるようにします。

円満退職を実現する退職理由の伝え方

退職理由は、前向きな個人的理由を述べるようにしましょう。看護師や保健師、助産師の場合、勤務体制の過酷さが、退職理由になることもあるでしょう。出産や育児、介護などとの両立の難しさが理由になることもあるかもしれません。

しかし、職場への不満は、聴いていて気持ちのよいものではありませんし、改善策を持ち出されて引き留めのもとにもなりかねません。やめるようにしましょう。

うつなどで、体力的や精神的に勤務を続けることが難しいのであれば、そのことを正直に話しましょう。そして、治療に専念したい、一度立ち止まって自分を見直したいなど自分の希望を述べ、誠意をもって対話に臨むようにします。

すでに転職先が決まっているのであれば、転職、退職の両職場のことを考えて、できること、できないことをきちんと話しましょう。また、家族やパートナーにも話をし、同意や理解を得るようにしておくとよいでしょう。

2.上司面談

面談で、退職を正式に決めていきます。直属の上司(看護師長)→看護部長→事務長(人事や総務担当)が大まかな流れとなります。

退職理由については、前述した通り、個人的な理由を話すこと。

面談では、給与や労働環境の改善策を持ち掛け、慰留されるかもしれません。自分の意思をしっかりと持っておくことが大切です。上司の言葉を信じて退職を思いとどまったのに、約束と違う結果になってしまったと後悔する看護師もいるほどです。とはいえ、慰留がしつこいと中々辞めにくいですよね。そうならないためにも事前に慰留を受けたときの断り方を考えておくと良いかと思います。

3.退職スケジュールの相談と決定

職場の都合も聞きながら日程を調整していきます。有給休暇の消化や引継ぎ、退職のための手続きには、日にちを擁します。また、病棟勤務などの場合、夜勤などシフトの都合もあるため、退職日は1ヶ月以上先の日にちにすることが望ましいでしょう。退職や引継ぎについての就業規則があれば、それに従うようにします。

賞与がある場合は、支給されてから辞めたいと思うかもしれません。しかし、ボーナスをもらってすぐに辞めるでは、反感を買いやすくなります。円満退職を考えるのであれば、仕方がないとあきらめることも大切です。

一方、後任が決まるまでなどと、先延ばしされないよう注意することも必要です。特に転職先がすでに決まっている場合など、できないことは、はっきりと申し出るようにしましょう。

4.退職願の作成・提出

退職希望日が決定してはじめて、退職願を作成・提出します。

退職願は、白地縦書きの便箋に、黒インキの万年筆やボールペンで記入し、白地縦長の封筒に入れて、退職日の1ヶ月前までに、直属の上司(看護師長)に直接手渡します。忙しくない時間帯などを見計らって、渡すようにするとよいでしょう。

退職理由は、「一身上の都合」とします。職場で決められた書式がある場合は、それに従って記入します。転職先が決まっているのであれば、退職願を提出した旨を伝えます。

5.後任への引継ぎなど

自分が担当していた業務を、後任に引き継ぎます。後任者が不安になったり、困ったりしないように、丁寧な引継ぎを行いましょう。マニュアルを作成して渡すのも、良い方法です。後日、確認が必要なことがあるかもしれません。後任者に、電話番号やメールアドレスなど、連絡先を知らせておくとよいでしょう。

同時に、退職の10日ぐらい前から、お世話になった人への挨拶をします。メールなどでもよいでしょう。相手には仕事があります。挨拶は簡潔に。

退職前日から当日にかけては、自身の荷物の整理や制服など貸与されていたものの返却を行い、退職時の必要書類などを受け取ります。退職当日には、お世話になった看護部長への挨拶も忘れずに。