心臓血管外科には、心臓の血管に異常や異変を生じ、正しく心拍できない状態になっている患者さんが入院します。
虚血性心疾患である狭心症、心筋梗塞、大動脈解離や心タンポナーデ、心臓の弁異常を来たした患者さんを治療対象とします。
急な心疾患から、生活習慣などに起因する徐々に進行、悪化して手術を要する状態となる患者さんなど、その入院経緯は様々です。
しかし、心臓病と言われるだけで恐怖や不安を抱えるものです。
看護師は、専門的で高度な医療技術に対応する看護技術を求められます。ときに、人工心肺装置や補助循環などを利用した大掛かりな治療にも対応する知識も要します。
では、心臓血管外科に勤務する看護師は、どのような知識や技術を持ち合わせるべきなのでしょうか。
必要な看護技術・知識
心臓血管外科では、心臓血管手術、ペースメーカー埋め込み術、人工血管置換術などの時間的にも長時間で、高度な技術を必要とする手術を行います。
手術に対応する知識、その後の管理を行う知識や技術、専門治療を行う機器を操作、管理する知識や技術を要します。
その判断や観察により患者さんの回復を左右したり、少しの見落としが患者さんの状態悪化を促進させることがあり、充分な教育と、指導による熟練した観察力と判断力、その対処が成せる技が必要です。
動脈ラインの管理
心臓血管外科に入院する患者さんは、心臓の動脈圧を管理し、心負荷を考慮し治療するために、動脈ラインが挿入されることがあります。
その挿入介助やその波形が示す状態の管理を行い、異常早期発見に努めます。
また、挿入部の清潔保持や固定管理により、感染予防やラインの屈曲や閉塞等のトラブル回避への関わりを要します。
動脈ラインの圧や波形の示す状況を捉え、アセスメントする能力や、挿入中の看護技術を習得しておく必要があります。
中心静脈カテーテル挿入と管理
心臓血管外科に入院する患者さんは、その栄養管理や水分管理を行う為に絶食し、CVラインより高カロリー栄養を補給したり、時にそのラインからCV圧を測定し、心負荷や水分出納を図る場合があります。
挿入時の医師の介助や、挿入中の清潔管理、固定管理を行う知識と技術が必要です。
また、必要量を正しく滴下し、栄養状態の低下がないよう輸液管理する知識や水分出納バランス、CV圧を正しく測定できる技術や操作法の習得も必要です。
人工心肺装置の管理や大動脈内バルーンパンピング術の管理
心臓血管外科ならではの治療法に適応するための看護知識や技術を要します。
PCPSやIABPなどの専門機器を利用した治療法が適切になされる為に、その機材の活用法や医師の指示に基づく設定の確認や管理、使用中の患者さんの全身管理を行う知識を要します。
急変や異変に気づく為の観察力や判断力も必要で、経験や実戦を積むと言う事も看護師に求められる事です。
清潔ケア
心臓血管外科に入院する患者さんは、心機能や術後の状態により安静や活動制限が成されることが多いです。
人にとって、清潔を保つと言う事は自然のニーズで、かつ王制限や治療上の制限による清潔保持困難は多大なるストレスとなります。
よって、看護師は患者さんがそう快感を感じられるような清潔ケアと、創部や全身の感染症予防の為の清潔管理を行います。
疲労や苦痛を感じさせない清拭方法や、不快を感じさせない清潔保持方法、また、陰部洗浄や部分浴などの爽快や癒しに関わる看護技術も必要です。
まとめ
心臓にトラブルを抱えている患者さんは、一つ一つの行為に疲れや苦痛を感じることがあり、日常生活動作一つにおいても満足を感じられない事があります。
患者さんを癒しや安楽の方向へ導くために、看護師には患者さんが身を任せられる日常生活支援と、専門的で先進的治療に対応できる看護技術、術後管理、機器管理が成せる知識が求められます。
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