夜勤手当・当直手当とは

夜から始業し、翌朝勤務が終わるのが夜勤です。基本的に日勤と変わりなく、休憩時間を除けば実働時間とみなされ法律的には法定労働時間内勤務となります。法定労働時間の原則1日8時間、週40時間の中の勤務なので、昼間働くか夜働くかの違いでしかありません。

しかし、賃金的には日当の他に日勤にはない「夜勤手当」が加算されます。22時~5時の勤務分は深夜割増手当てとして、25%増しで支払われます。

当直勤務とは、夜間時の待機と緊急時のサポート役です。当直の仕事は、電話対応や病棟内の見回り、待機など労働量の少ないものです。もちろん緊急時のサポート要員ですので緊急時は忙しくなりますが、何もなければ休憩も仮眠もとることもできます。

ただし、労働基準法上では通常勤務(1日8時間、週40時間)の中に含まれない法定労働時間外の勤務となります。翌日の日勤に差し支えないというのが基本的な考えとなるので、ほとんどの病院では当直後はそのまま通常日勤を行い、1.5日勤務するということが多いです。

当直回数は1ヵ月最高8回までと決められており、軽度な業務とはいえ連続して1.5日勤務するのは過酷な労働になるため、その手当として当直手当が支給されます。

当直勤務では労働基準法の時間外、深夜・休日の割増賃金等に関する規定が適用外となるため、割増賃金の支払いはありません。

しかし、夜間帯に勤務する特殊な勤務体系ですので、雇用主が労働者に当直を行わせるには労働基準監督署に申請した上で許可を受ける必要があります。

夜勤手当・当直手当はどうしたらもらえるの?

夜勤当番、当直当番で勤務すれば、夜勤手当・当直手当は支給されます。

夜勤手当の場合は、22時~5時の時間帯が25%でなければ労働基準法違反となります。万一支払われていなかった場合は、過去2年分さかのぼって請求することが認められています。たいていの病院は勤務シフト表などで勤務を管理していますので、請求を行わなくても月々の給与に反映されます。

夜勤手当・当直手当の相場はいくら?

夜勤手当の金額は特に法律で定められていないので、病院によってバラつきがあります。夜勤手当の平均額は二交代の場合、1回の平均額は10,754円、三交代制の場合、準夜勤で平均4,077円、深夜金で平均5,033円となっています。

最も多かった金額帯は12,000円~16,000円(41.3%)、次いで8,000円~12,000円(32.6%)、4,000円~8,000円(15.2%)となり、0円~4,000円(6.5%)、16,000円以上(4.4%)というケースもありますが、夜勤手当全体の平均額は10,729円です。

当直手当も病院ごとにバラつきがありますが、1回平均2,000円~6,000円が相場のようです。夜勤と同じ時間帯で働いても、業務内容が軽度なこと、待機、サポート要員という扱いになるので、日当の約3分の1が目安とされています。ローテーションの中で通常勤務をしている場合は、夜勤となり当直扱いにはなりません。

同じ夜勤でも、夜勤と当直の業務内容の違いで手当にも差が出てきます。入職の際は、夜勤と当直の回数や業務内容を確認しておくことが大切です。

夜勤手当・当直手当の賢い使い方

高収入と言われている看護師ですが、看護師すべてが高収入という訳ではありません。勤務する病院の規模、都市部と地方では給与に格差はありますし、日勤だけの看護師は夜勤手当がない分、給与も少なくなります。

やはり高収入を得たいのであれば、積極的に夜勤を行う必要があります。新人時代は給与が高くなるだけでなく、経験を積む場にもなります。患者さんの急変、救急搬送対応、緊急手術など夜勤をすることで経験できることがたくさんあります。

夜勤では数名の看護師しか配置されませんし、療養型の病院であれば自分ひとりという場合もあります。夜勤をやり、様々な経験を積むことでスキルアップもできますし、自分に自信もつきます。オールマイティに対応することができるため、夜勤をしている看護師はどこの病院でもどんな診療科目でも柔軟にこなすことができます。

夜勤専従で働くという方法もあります。夜勤専従の場合は1回の日当が20,000円~30,000円になり、回数をこなすことで高収入になります。ただし、非常勤の場合は福利厚生の面などで優遇がなく、常勤と比べ待遇が悪くなるということもあります。また生活も非常に不規則になり、体調管理も難しくなります。

夜勤といっても、回数も時間も病院によって違ってきます。夜勤をすることで収入面、経験面ではメリットはありますが、時間や休みが不規則になる、生活リズムが乱れる、体調、体力面で負担がかかるというデメリットもあります。

子育てをしながらの夜勤となると更に負担がかかってきますし、託児所などの問題もでてきます。自分がおかれた状況の中で、どこにどれだけの比重をおいて働くのか考えて勤務体系を選択する必要もあると思います。