乳腺外科に入院する患者さんは、乳がんや乳腺炎を患う女性が対象です。

乳腺炎に関しては、適切な治療や管理により回復、改善される疾患ではありますが、乳がんはそうではありません。

これまでは、産婦人科病棟に入院して治療していましたが、出産や喜びの多い妊産婦と、辛いがん疾患を抱える患者さんが同じフロアで時間を共にする悲痛や、乳腺や内分泌と言う専門知識を要する疾患に対応すべく、「乳腺外科」と分けられる傾向が高まっています。

もし、自分が乳がんになったらどうしますか?

すんなり状況を受け入れ、手術へ進めるでしょうか。すんなり周囲に「乳がんになった」と言えるでしょうか。

女性にとっての乳房とはどのよううな存在か、その乳房が無くなると知った時、患者さんは何を望むかを考えて関わらなければなりません。

また、治療や手術が効果的に行われるように必要技術を習得しておく事で、患者さんの不安軽減にも役立ちます。

では、乳性外科における看護師に必要な師知己や技術について理解しましょう。

基本的な看護技術

乳腺外科では、デリケートな部分への介入、その心の闇に介入し、その人らしい生活を再構築するための専門的知識や技術を求められます。

看護師として、女性として、その方の身になり、その方のこれからの人生が明るく活力あるものに出来る関与スキルを求められます。

また、ボディイメージの変容に対処出来る再建や活用できる支援システムを理解し、それを伝えられる能力であったり、リンパ郭清による浮腫などのトラブルに対する専門的ケア技術を持ち合わせる必要があります。

ボディイメージへの認識とその変化に対応する知識

補正下着や乳房再建術に関して充分に理解し、その存在を説明するところから患者さんとの関わりが始まります。

その変化を何とかしたい、もとの状態に近付けたい、自分の体を醜いと感じたくない気持ちに対応できる専門的知識や、下着であればその購入先等の情報を提供できる事で、患者さんに関わることが出来ます。

相談に乗り、求められる情報をひとつひとつ正しく応える知識が重要です。

リンパ浮腫へのケア技術

リンパ郭清をした患者さんは、リンパ液の貯留により腋下のリンパ周辺にむくみを生じます。腕の重みを感じる事で、「胸を切ったんだ」とまた感じ、抑鬱気分や、辛さを再燃します。

出来る限り、安楽に活動できるよう、また精神活動を良好に保つよう、看護師は、リンパ浮腫ケア技術を習得すべきです。

また、それが退院後、自分でも行われ、苦痛を軽減した生活が出来るよう、自分で出来るリンパケアの指導を行う知識も必要です。

終末期看護

乳がんが進行し、転移する事により気付いた時には末期であったと言う患者さんもいます。そのような患者さんは、緩和ケアや終末期医療により自分の最期が自分らしくあるよう療養する事を望みます。

乳がん患者さんは、若い女性から高齢女性まで年齢層が幅広いですが、年齢が若いほど進行が早い特徴があります。

そして、若い患者さんや中高年の患者さんは、自分の事が自分で出来、何かしたい、最後の時間をどのように過ごしたいとの思いを抱えている事が多くあります。

よって、その夢や願いを叶えられるよう、配慮し、患者さんを支える医療チームで、疼痛コントロールや支援体制を整え、その人らしい時間を送れるよう支援する知識や技術、調整力を身につけておきたいものです。

まとめ

患者さんの身になる態度と、その思い理解しようとする気持ち、隣に寄り添い話を聞ける余裕が看護師には求められます。

指導や教育という看護師としての役割ではなく、ただそばに居て、安心出来る存在や空気感になれる事も看護師としての技術ではないでしょうか。

乳腺外科の看護師には、何かをすることが看護ではなく、その人の心の拠り所になると言う事も看護師に求められる姿勢です。