勤務開始時、自分が情報収集する方法として、患者さんを訪室し状況を確認する事、看護記録から情報収集することがあります。

新人看護師や経験の浅い看護師は、その読解に苦戦する場合があります。

何を、どこから情報収集し、自分の勤務帯に必要とされる情報が何なのかが分からず、ただ、闇雲に書いている事を読み上げると言う事もあります。

複数人を担当する看護師は、一人一人の看護記録を熟読している暇はありません。そんな暇があるのであれば、患者さんの傍へ行き、患者さんの思いを聞けるケアを行いたいものです。

看護記録からの情報収集は、短時間に必要なことだけを拾い集める情報収集力が必要です。

まず、看護記録を読み取るには、看護記録の方法を知っておかなければなりません。

SOAP記録か、経時記録か、フォーカスチャーティングかなど、看護記録方法にはさまざまな種類があります。

そして、その記録方法はそれぞれに特徴があります。

その特徴を知らなければ、何がどの情報かを知ることすらできません。

看護記録の方法

SOAP

患者さんの主観と客観的データを基に、状況をアセスメントし、次の看護ケアのプランニングを行います。

S:患者さんの訴え(寒気がするなど)

O:客観的データ(バイタルサイン、悪寒戦慄あり、末梢チアノーゼありなど症状や状態、毛布をかぶっているなど)

A:状態をアセスメントし、行ったケアを記載(体温上昇あり、悪寒戦慄伴い、電気毛布にて保温するなど)

P:行ったケアに対する今後の計画を記載(状態観察し、体温上昇待って解熱考慮するなど)

経時記録

時間を追って、行ったケアや検温、検査等を記載します。

時間通りに行った事を記載するため、記録に時間がかかります。

例)何時何分 清拭施行。皮膚状態や患者さんの反応などを記載する。

フォーカスチャーティング

患者さんの問題点に着目し、その問題を可決するよう行った内容を記載します。

F:問題点やフォーカスしたいこと題材(発熱)

D:フォーカスを当てる情報(体温、脈拍、呼吸状態)

A:行った行為(クーリング、解熱剤使用、点滴処置、検査など)

R:行ったことに対する反応(行ったケアによる解熱効果、検査データによる状況など)

このように、各記載方法により書き方や記載内容が異なります。

そのため、所属する医療機関の看護記録の方法を知っておかなければなりません。

記載方法を知ったうえでの看護記録の読解

日勤帯、夜間帯に変化があったことを記載されている場合、その問題点が今、解決していることか、解決していない事かにより重要性が変わってきます。

例えば、清拭を行って、何も異常が無かった場合は、そう重要な情報ではありません。しかし、清拭を行って、血圧変動があり、降圧薬を追加使用したなどの変化があった場合は、注意が必要です。

また、その降圧薬の効果により降圧できたかどうかで、自分の勤務帯のケアの優先順位が変わってきます。

できている場合、継続して血圧測定が大切で、もしかしたら他の行動により一時的な血圧上昇を認められるかもしれないとの予測が立ち、血圧に注意すると言う認識が持てます。

また、降圧できていない場合は、血圧コントロールが重要な看護点となることに気づくでしょう。

検査データや行った処置の理解

データとして記載されることは、異常値があった項目やその異常に対して何か行われた処置や追加事項です。

追加されたこと、新たに始まったことは見落としてはいけない内容です。そして、その追加された内容は、開始された為に注意して観察していかなければならない注意事項となります。

情報が無さ過ぎて情報が把握しにくい内容については、記載した看護師に情報を聞きましょう。

また、そのような記載で困ったと感じた看護師は、似たような記載で周囲を困らせないようにしましょう。

まとめ

看護記録は読解力が必要です。しかし、初めから充分な読み取りは困難かもしれません。

新人看護師や経験の浅い看護師は、先輩に確認しながら正しい情報を得ましょう。

今はフォローが必要かもしませんが、経験を積み重ねると、何が大切で何を優先順位を低く捉えたらよい情報かが分かってきます。

自分の所属する医療機関の看護記録の特徴を充分に把握し、何を記載すれば良いか、何を読み取るべきかを学びましょう。