KNSとは、看護師の業務負担量、患者さんの看護の必要度を表しています。

看護師の業務負担量は、患者さんの人数ではなく、その患者さんの看護や介護の重度さによります。

ADL自立の成人を複数人担当するより、人工呼吸器や医療機器、処置を複数要する数名を担当する方が、看護師の負担割合的に多い事があります。

その病棟における看護負担割合を示し、看護業務量全体を評価、換算する取り組みが、看護必要度という考え方です。

実働看護師の忙しさを数値化する方法です。

看護必要度は、診療報酬や入院基本料を決定するための重要な評価となり、看護師は正しく判断し記載する事が求められます。

では、KNSを正しく理解し、見落としない評価、記載を行いましょう。

KNSの目的

看護必要度の評価視点を熟知し、その算定を正しく行えなければ、必要な診療報酬や看護基本料を得られない結果となります。

それは、病院の収入、患者さんの支払いにも関わり、信用や信頼に関わることです。

また、病院の経営にも関わる大切な、知っておくべき事項です。

看護必要度とは

平成18年の診療報酬改定により、入院基本料の決定等に看護必要度の導入がなされました。

看護の質を高め、看護師一人一人の負担割合を軽減するために、看護師1人に付き7人の患者さんを担当する7:1看護を導入する医療機関が増えました。

7:1看護を導入するに当たり、その必要度を算定すべく、7:1入院基本料を得る病棟では、一般病棟用の重症度、看護必要度を「毎日」評価する事が義務化されています。

また、この評価を行う事で、平成22年より入院基本料等の加算2点が追加できるようになりました。

⇒看護師1人に対し、患者さん10名以内の担当とする一般病棟10:1を導入する病棟では、重症度、看護必要度を継続的に評価する事を評価する「一般病棟看護必要度評価加算」が追加できるようになっています。

⇒7:1看護と10:1看護を導入する病棟では、一般病棟用の重症度、看護必要度の基準を満たす患者さんが一定以上入院していれば、「急性期看護補助体制加算」が追加できます。

⇒平成24年には、看護基本料7:1の入院基本料の重症度が15%に引き上げられ、10:1の入院基本料は、看護必要度評価加算が「廃止」されています。

評価そのものが施設基準に組み込まれ、行わなければならないこととなっています。

⇒13:1の入院基本料としている病棟では、評価を行う事で「評価加算」が追加できるようになりました。

※手厚い看護ができる体制かどうかを「看護必要度」で評価しています。

評価方法(A項目)

・創傷処置:「あり」「なし」

創傷、褥創などの処置があり、看護師や医師がその交換や処置を行ったかどうか。

創部の数、深さ、範囲は問わず、褥創はDESIGN d2以上、縫合に伴う処置も含みます。

気管切開や胃ろう処置を行い、その抜糸などの間は処置「あり」となります。スト-マの排泄処置は「なし」です。

看護師による創部の記録が無ければならず、医師が単独で行ったケアは「なし」となります。

・血圧測定「0~4回」「5回以上」

自動血圧計でも、看護師の手動測定でも、24時間の血圧測定回数とその記録が必要です。

その測定値が看護記録、検温表、ふろーシートのどれかに記載されていることが要件です。

・時間尿測定「あり」「なし」

1時間内の尿量測定の実施とその記録がある場合。

前回測定尿から1時間以内に尿測定をすることとし、3回以上行う事が要件です。

記載が無ければ無効です。

・呼吸ケア「あり」「なし」

人工呼吸器管理・酸素吸入・気管内吸引・口腔内吸引・痰を出すための体位ドレナージ、スクウィージングなどを実施し、その記載をしていることが要件です。

エアウェイ挿入、ネブライザーは「なし」です。

・点滴ラインが同時に3本以上ある「あり」「なし」

抹消静脈・中心静脈・動静脈シャント・硬膜外麻酔・皮下への点滴を持続的に行い、その記載があることが要件です。

連結ラインからの点滴は1本のカウントです。

静脈注射は点滴に含みません。

・心電図モニター「あり」「なし」

持続的に心電図のモニタリングを実施しており、記録されていることが要件です。

一時的な十二湯堂心電図検査は含みません。

・シリンジポンプの使用「あり」「なし」

静脈注射・輸液製剤・血液製剤を行う、微量注射が必要でシリンジポンプを使用した場合、その使用の記載があることが要件です。

・専門的な治療や処置

抗がん剤の使用
麻薬注射の使用
放射線治療
免疫抑制剤の使用
昇圧剤の使用
抗不整脈剤の使用
ドレナージ管理

このうち、どれかの処置や治療が行われ、その記録があることが要件です。

評価方法(B項目)

ADLに関して、見守りや介入が必要な場合にチェックが入ります。

この点数により加算がとれること、その病棟の看護配置人数が変わってきます。

「できる」「何かにつかまればできる」「出来ない」で判断します。

・寝返り

寝返りが自分でできるかどうか

ベッド柵やひもなどを使用し何かにつかまれば自分でできるか

・起き上がり

起き上がりが自分でできる

ベッド柵や紐など使用し何かにつかまればできる

※電動ベッドの使用が自分で出来る場合は「出来る」です。

・座位保持

座位が保てるかどうか

いす・車椅子・背もたれ、手による介助、他の座位保持装置により支えがあればできる

・移乗

移乗が自分でできる

看護師などの見守り、介助でできる

・口腔の清潔

口腔内を清潔にするための一連の行為が自分でできる

看護師などが見守りや介助を行っている

※一連の行為とは、うがいと歯磨きの用意から施行を意味します。

・食事摂取

食事介助で、経口栄養、経管栄養の介助を判断し、中心静脈栄養やIVHは除外します。

食事を食べる行為を言い、食事のセッティング等は含みません。

・衣類の着脱

衣服の着脱を看護師などが介助する度合いにより、介助なし、一部介助、全介助とします。

おむつ交換も衣類の着脱に含みます。

全く着脱に関して力を貸さない状態が全介助で、袖から腕を抜こうとする等の少しでも手を貸そうとする意思、行為があれば一部介助です。

まとめ

看護必要度の評価は、患者さんの入院費用の支払い、病院の収入に関わる大切な評価です。

評価する看護師の知識や認識で変動があっては困る内容です。

評価法や指針を充分に把握し、間違いなく評価されなければなりません。