専門的なスキルと幅広い知識と技術
整形外科で働く看護師の場合、専門的なスキルを身につけるだけでも、関連する分野についての幅広い知識や技術が身につく診療科でもあります。
それは、整形外科とは、骨、関節、靭帯、腱、神経、筋肉などの体のほとんどの部分を占める器官の病気やケガを、診察・治療する診療科目であって、下記のような様々な疾患や治療部門があるからです。
- ケガなどの外的疾患や骨折
- 腰痛、肩痛
- 椎間板ヘルニア
- 骨粗しょう症
- 膝、股関節の疾患
- 足や手に特化した診察
- スポーツ整形外科
- 先天性の小児整形
様々な疾患や治療部門があることに加えて、対象者が子どもから高齢者まで幅広く、年代ごとに抱える特有の疾患なども関係してくるため、看護にはさまざまな分野が関連し、それらについての知識や技術が必要になってきます。
高齢者の患者さんも多く、認知症、内科疾患についての知識も身につけることができます。
高度な看護技術や知識が身につく
近年では、痛みが少なく術後からの回復も早い、低侵襲手術が進歩・導入されている分野でもあり、医療の最先端に携わることから、高度な看護技術や知識も身につきます。
また、整形外科を受診する患者さんは、病気やケガなどで、ADL(日常生活動作)が低下しています。こうした患者さんのADLに関わる看護について、急性期・回復期から在宅に至るまでの一連の基礎知識が身につきます。
とりわけ、回復期は、患者さんが少しでも早く回復できるよう、回復過程を見越しながら、患者さんの身体機能の維持に努めなければならないため、整形外科看護師としての専門性が求められます。
運動器機能の回復・維持を行うためのリハビリテーションは、理学療法士などとも連携をとりながら行いますが、適切な看護を行っていくために、リハビリに関する知識や技術も求められます。そのため、整形外科で働くナースの中に、リハビリテーションに関する資格を取得する人も多くなっています。
整形外科看護師のスキルアップ資格
運動器看護師
整形外科看護師としての専門性を高める資格の代表として運動器看護師が挙げられます。
運動器看護師は、日本運動器看護学会が認定している資格で、医療現場において、運動器の障害に関する専門的な知識や技術をもち、それに基づいた専門性の高い看護を実践していきます。
看護師としての実務経験5年以上かつ運動器領域での3年以上の実務経験を有し、所定の講習を受講の上、書類審査と認定試験を受けて合格すると、認定されます。整形外科における看護のみならず、運動器の機能障害を有するあらゆる分野の患者さんの看護にも、専門性を発揮することが期待されています。
関連する看護分野の資格
関連する看護分野での資格としては日本看護協会が認定する脳卒中リハビリテーション看護認定看護師、糖尿病看護認定看護師や、在宅看護専門看護師、家族支援専門看護師、老人看護専門看護師などの専門看護師をあげることができます。
運動器リハビリテーションセラピスト
リハビリテーションに関する資格として運動器リハビリテーションセラピストは、日本運動器科学会が認定します。
日本運動器科学会の会員かつ日本整形外科学会専門医の常勤指導医のもと、所属医療機関において運動器リハビリテーションを行っている常勤勤務者(あんま・マッサージ・指圧師、柔道整復師、看護師、准看護師など)が、応募要件となります。
日本運動器科学会が行う講義を受講し、試験を受け合格することで認定されます。リハビリに対する知識や技術を身につけることができるだけでなく、診療報酬の加算対象となることから、看護師に資格取得をすすめている医療機関もあります。
運動療法機能訓練技能講習会
運動療法機能訓練技能講習会は、全国病院理学療法協会が開いている講習会です。
リハビリテーションについての技術や知識を高めることが目的であることや、講習修了者が診療報酬加算対象となることは、運動器リハビリテーションセラピストと同じですが、いくつかの違いがあります。
まず、医療機関(整形外科)だけでなく、老人保健施設や福祉施設などで、リハビリテーションに携わっている人(あんま・マッサージ・指圧師、柔道整復師、看護師、准看護師)も、認定の対象になります。また、職場が変わっても新たに講習会を受講する必要はなく、資格は継続されます。
そのほかにも、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)など、リハビリテーション専門職の国家資格に挑戦するナースもいます。
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