一昔前の医療現場における放射線科の位置づけは、レントゲン検査やCT検査等の検査業務による疾患の発見を主と考えられてきました。

しかし、医療の発達と治療研究により、放射線治療の期待が高まっています。

放射線科における看護師の役割は、検査が安全に行える支援と放射線治療における看護や管理です。放射線看護に関する認定看護師資格が立ちあげられるほど、放射線治療における看護の専門性を問う声や看護の期待があります。

では、最先端の治療でがん治療を行う放射線科での看護師の役割や必要知識や技術はどのようなものがあるのでしょうか。

放射線科における看護師の必要知識や技術についてまとめてみます。

必要な看護技術・知識

放射線科では、画像診断検査と放射線治療が行われます。検査機器の最新化により、病巣の発見は極初期の検診などによっても行われるようになっています。

よって、正しい検査法を説明し、正確に診断がなされるよう患者指導や検査実施出来ることが看護師に求められる知識です。

また、放射線療法を行う際の看護は、看護師の多くの知識や技術を要します。

放射線治療における患者さんの負担や不安に対応し、適切に治療が行われるよう、看護師には、専門的で高度な知識や技術が必要です。

検査介助

一言で放射線検査と言っても、レントゲン撮影、レントゲン造影検査、血管造影、消化管造影、CTスキャン検査、MRI検査、PET-CT等が行われます。

これらの撮影方法や注意点を弁え、正しく行われるよう患者指導する知識や技術が必要です。

絶食や検査後の療養注意点などの指示を理解し、納得して検査が受けられるよう、その人の認知力や理解力に合わせた説明や指導が必要です。

検査を受ける患者さんの不安や疑問を受けとめ、受容的、傾聴的に精神的ケアを行う看護力も必要です。

放射線治療中の患者さんへの対応や看護

放射線治療を行うと言う事は、がん疾患を治療している患者さんが多くいます。病気に対する不安や、今後の生活や余命に対する不安、これから出現するかもしれない副作用等への懸念もあります。看護師に必要とされるのは、精神的ケアと予測的ケアの技術です。

恐怖や不安に押しつぶされそうな患者さんの思いに寄り添い、治療が継続できるよう支えとなれる精神的ケアを行うコミュニケーション力や寄り添う姿勢が求められます。

さらに、患者さんの疑問や不安に答えられる放射線療法や疾患の知識を有しておくことも大切です。

そして、放射線療法を行っていると言う事は、がん疾患の療養中です。

急変や状態悪化を来たす、また、免疫低下等により感染し易い状態ともなっている場合があり、異変を察知し、早期対処出来る観察力と判断力が必要です。

いつ異変してもおかしくないという認識で看護に当たる事も大切な心構えです。

安楽ケア

放射線治療中の患者さんは、疾患による苦痛、放射線療法の副作用による苦痛、精神的悲嘆や悲痛など、苦しめられていることが多くあります。

そのような患者さんに安楽を提供できる事が看護師としての魅力ではないでしょうか。

痛みを訴える患者さんに対して適切な鎮痛剤の使用と緩和ケアを行い、除痛を図ること、リラクゼーション出来るマッサージや癒しのケアを行い精神的苦痛を取り除くケアを行う事が出来ます。

治療の副作用による嘔吐や嘔気、食欲不振や脱毛など、患者さんの辛い症状を緩和したり、その症状を発した際の適切な対処法が必要です。

吐物の片づけ、吐いた後の口腔の清潔保持、安楽な体位保持への支援や、食べられない苦痛、髪が抜けていく患者さんの精神的ダメージなどに対応する看護ケアや関わり方の工夫が看護師に求められます。

被ばくに対する知識と防御技術

放射線療法では、時に治療を通じての被爆リスクがあります。正しく取り扱わなければ、自分自身が被爆してしまう危険性をはらんでいます。

よって、被ばくに対する知識と、被爆しない為の予防策、そして、放射線に暴露された際の対策を知っておく必要があります。

被爆防御には、「距離」「遮蔽」「時間」が大切な知識です。

放射線科に勤務する看護師であればこの基礎知識をしておくことが重要です。

まとめ

放射線科で重要な看護とは、患者さんの納得と理解の基での治療実施ではないでしょうか。看護師として、患者さんの疑問や不安に応え、前向きに治療に参加できるようサポートする姿勢が大切です。

もし、自分ががんと診断された時、何を思い、何を考え、どのようなサポートを必要とするでしょうか。

命を左右する放射線治療を選択した患者さんに、心と身体を預けられる看護知識と医療知識を持って安心出来る療養を支援しましょう。