1.目的と適応

水分補給や薬剤投与の順路を確保するために、静脈内に針やチューブなどを留置する処置のこと。

現場では、「血管確保」「ルート確保」などと医師・看護師は呼ぶこともある。

2.必要物品

  • 手袋
  • 駆血帯
  • アルコール綿
  • 留置針
  • 輸液ルート
  • 三方活栓
  • 接続チューブ
  • 固定用テープ
  • フィルムドレッシング材
  • お針箱
  • トレイ
  • 生理食塩水(点滴ボトル)

3.手順

  1. 必要物品を準備する
  2. ・アルコール過敏症の有無を確認
    ・点滴ルート、アルコール綿、固定用テープなど、すぐに手に取り使用できるように広げておく

  3. 穿刺部位を決定する
  4. ・血管の走行を観察し、比較的真っ直ぐの血管を選ぶ
    ・触診にて、弾力・血管が逃げるのかなど感触を確認する

  5. 駆血帯をまく
  6. ・穿刺部位から10cm程度中枢側を駆血する
    ・ゴムの駆血帯では皮膚が引き連れ患者側が痛みを伴うことがあるため、可能であれば衣類の上で駆血する

  7. 消毒する
  8. ・アルコール綿で穿刺部を中心から円を書くように消毒する
    ・アルコール過敏の患者には、他の消毒薬を用いる

  9. 穿刺する
  10. ・末梢側の皮膚を引っ張り、血管を固定する
    ・穿刺部位の少し手前から、15~20度の角度で刺入する
    ・刺入したら痛み・痺れがないことを確認する
    ・血管が分かりづらい時は、駆血後に腕を下げてもらう、お湯や蒸しタオルで温める、穿刺部位を叩くなどの対処法がある

  11. 真空管を差し込む
  12. ・採血ホルダーが動かないように利き手で固定し、スピッツを差し込む
    分注・採取する場合は、凝固【黒】を1番にする(採取後、時間が経過するとデータに影響を与えてしまうため)

  13. 真空管を抜く
  14. ・スピッツ内に必要量が採取されると自然に流入が止まるため、そのままゆっくり引き抜く

  15. 駆血帯をはずす
  16. ・患者に手をグーに握ってもらっていたら開いてもらう
    ・針を抜針する前に駆血帯をはずす

  17. 抜針し、穿刺部位を圧迫する
  18. ・患者にも協力を得て、抜針後5分程度は圧迫止血する

  19. 止血用テープを貼る
  20. ・止血を確認したらテープを貼り、採血が終了となる

  21. 片づけ
  22. ・使用した針はリキャップせず、そのままお針箱に破棄する

4.合併症

  • 皮下出血
  • 十分な止血処置が行われないと血管内から皮下へ血液が漏れ出し、皮下出血となる。医療者側の原因として、技術不足などがあり、患者側の原因としては、血管がもろい、血小板低値、抗凝固薬内服などが考えられる。

    ・抜針後、十分な圧迫止血を行う。
    ・ワーファリンなど抗凝固薬内服の有無を確認する。
    ・万が一、皮下出血が発生した場合は、自然に吸収されるため問題ないことを患者に伝える。

  • 神経損傷
  • 血管と神経は併走していることが多く、穿刺により血管損傷の原因となりやすい。

    ・神経の走行を学習し、なるべく深部の血管を穿刺しない。
    ・痛みや痺れを訴えた場合は、直ちに抜針する。

  • 血管迷走神経反射
  • 採血に対するストレスや恐怖により迷走神経を刺激して、迷走神経の興奮が血圧低下、徐脈、気分不快などの症状を呈する。

    ・気分転換やストレスの軽減に努める。声掛けや説明を十分に行う。
    ・症状出現時は、仰臥位にバイタルサインの測定を行う。

  • 針刺し事故
  • 患者に使用した針を誤って医療者側に刺してしまう医療事故である。B型肝炎、C型肝炎、HIVなどの感染暴露が問題となる。

    ・リキャップはしない。
    ・針刺し事故が発生した場合は、直ちに血液を絞り出し、十分な流水で洗い流し消毒する。
    ・院内の針刺し事故マニュアルに準じて対応する。

<ワンポイントメモ>

1度確保したルートは3日に1度交換すると言われていましたが、感染や汚染の観点からはエビデンスが明らかではないようです。

所属している病院のルールや、汚染が確認された時に適宜交換するなど、刺入部からボトルまで十分に観察してください。