感染症看護専門看護師とは

役割

感染症看護(Infection Control Nursing)は、2006年に専門看護分野に特定されたものです。専門看護分野には11分野あり、その中でも比較的新しい分野です。

専門看護師には、実践、相談、調整、倫理調整、教育、研究の6つの役割があります。

感染症看護専門看護師の具体的な役割は、感染症が流行した際患者に対し高度な看護を提供したり、感染症の流行を未然に防ぐため感染予防を行ったりすることなどがあります。また感染症が流行した際に感染の拡大を防ぐため、対策を講じることも重要な役割の1つとなっています。

求められる専門知識や技術

感染症看護専門看護師に求められる専門知識や技術は、多岐にわたります。というのも、専門看護師は看護だけでなく、調整・倫理調整・研究の役割も担っているためです。

この調整・倫理調整・研究は専門看護師ならではの任務であり、これらに該当する業務は患者に対する看護を行うというものではなく、看護を円滑に進めるために必要な体制を整えるためのものです。

患者に対する看護に必要な専門知識や技術については、感染症の原因となる菌やウィルスなどの知識はもちろん、症状を緩和する治療方法、二次感染を防ぐための技術などがあります。これらは、看護を行う自分自身を感染症から守ることにも繋がるため、非常に重要なものです。

一方、看護体制を整える際には、治療を行うチームで情報を共有することはもちろん、無菌室に隔離された患者やその家族に対し倫理的な葛藤を解決し、治療に専念できる環境を作ることも重要となります。そのため、コミュニケーション能力やリーダーシップ、カウンセリングの技術なども求められます。

感染症看護専門看護師になるには

資格取得方法

感染症看護専門看護師になるには、3つの条件があります。

  1. 日本の看護師免許を取得していること
  2. 看護系大学院の修士課程修了者で、日本看護系大学協議会の定める専門看護師教育課程基準の単位(総計26単位、または38単位)を取得していること
  3. 通算5年以上の実務研修実績があり、そのうち3年以上が専門看護分野での実務研修であることです。

この3つの条件を満たす看護師は、認定審査を受けることができます。

認定審査は書類審査と筆記試験の2つで、認定審査に合格すると、専門看護師の認定証が交付され、登録すると感染症看護専門看護師となります。

感染症看護専門看護師は5年ごとに更新が必要で、更新の際には書類審査が行われます。

資格保有者数

感染症看護専門看護師の資格保有者数は、全国に30人です。専門看護分野には11の分野がありますが、資格保有者数は比較的少ない分野です。

感染症看護分野は、専門看護分野に特定されて日が浅いこともあり、資格保有者数はまだ少ないものの、医療現場では需要が高まってきているため、今後はさらに資格取得者が増えるでしょう。

難易度・合格率

感染症看護専門看護師の認定審査では、合格率が80%程度と比較的高い水準にあります。

認定審査には書類審査と筆記試験があり、書類審査ではこれまでの看護実績が審査の対象となります。筆記試験だけではなく書類審査でも合格点を取る必要があるため、筆記試験に向けて学ぶだけでは合格できない点に注意が必要です。

また、書類審査や筆記試験だけでなく、認定審査の受験資格を満たす必要もあるため、認定審査よりも受験資格の取得に時間がかかることをネックに感じる看護師もいます。

感染症看護専門看護師の資格取得後

活躍できる職場

感染症看護専門看護師の活躍できる職場には、総合病院や大学病院といった多くの病床を持つ病院、感染症外来などの診療科目の設置されている病院などがあります。

このような職場で勤務する際は、特定の診療科目に配属されるケースよりも、院内の特別チームの一員として働いたり、病棟全体・病院全体の感染症担当となったりするケースが多く見られます。

また、外来に配属されると、診察が無い時間帯に地域の施設や病院の付属施設などで業務を行う場合もあり、職場によって受け持つ範囲は様々です。

将来性

感染症看護専門看護師は、資格保有者も少なく需要の高い資格です。

また近年では、感染症に関するニュースや情報に触れる機会が増え、社会的に注目されていることもあり、感染症看護専門看護師としての需要だけでなく、感染防止や普及啓発のための人材を求める傾向も見られます。

就職や転職で有利になるだけでなくスキルアップにも繋がるため、将来性のある資格と言えます。