地域手当とは

地域手当は、物価などの違いによって生じる給与の地域格差を少なくするために支給されますものです。

一般に都市部の方が地方に比べて物価などが高く、同じ給与をもらって生活していたのでは生活にコストがかかり、実質的には給与が「低い」状態になってしまいます。こうした差を埋めるために支給されるのが地域手当です。勤務先によっては、都市手当、地域給、調整手当などと呼ばれる場合もあります。

広義には、寒冷地手当や僻地、離島手当などといった自然条件や地理的な地域の特性によって生じる生活コストを是正するために支給される手当を含める場合もあります。

地域手当が支給されている主な施設は、国立病院機構や公立病院の他、大学病院、民間でも赤十字病院といったような公的性格の強い機関や全国に複数の施設を展開している病院や介護施設などで支給されています。

国立病院機構では全国一律の給与体系のため、都市部で高い傾向がある民間病院などとの給与の差を埋めるために支給されている側面もあります。また、民間病院などではアクセスが不便などの地域性を考慮して地域手当を支給する場合もあります。

地域手当はどうしたらもらえるの?

地域手当は、資格や本人申請の必要はなく、支給している病院や施設で働くことでもらうことができます。地域手当は一般に本人が住んでいる地域ではなく、勤務する病院や施設の立地を基準としているところが多いです。

国立や公立の病院・施設の場合、基本給に対する支給率や金額が給与規程で決められており確認することができます。民間の場合は、勤務先によって支給のあるなしや金額がさまざまで、個々に確認する必要があります。

地域手当の相場はいくら?

地域手当は物価や生活水準を基に算出されますので、一般に都市部の方が高くなっています。国立病院機構では、病院や施設の立地を1級地から6級地までに分け、基本給に級地によって定めれた18~3%を掛け合わせた額が地域手当です。

基本給約20万円の場合を考えてみると、最も支給額が多くなる1級地の東京医療センター(東京都目黒区)は18%の約36,000円となります。また、同じ都道府県でも、2級地の大阪医療センター(大阪市中央区)は約30,000円、6級地の大阪南医療センター(大阪府河内長野市)では3%の約6,000円となるように立地によって異なります。

公立病院の場合、東京都で約49,000円、愛知県や神奈川県で約40,000円、大阪府で約37,000円、京都府で約33,000円が相場です。赤十字病院では、基本給(本俸)に関東甲信越は15%、近畿・中国10%、東北・東海北陸6%、北海道3%、九州0%を掛けた数字が支給額となります。

民間病院や施設の場合、数千円ぐらいのところが多くなっていますが施設によってさまざまです。民間病院では、基本給に地域手当を含んだ月収例を求人に掲載しているところも多くなっているため、地域手当がいくらなのか内訳を確認しておくと良いでしょう。

地域手当の賢い使い方

地域手当は、手当のある・なしを考えると当然支給される方が良いでしょう。

しかし、手当があれば給与が多くなり得だと容易に考えて良いとは限りません。地域手当の金額が多くなる都市部では物価も高く、予想以上の生活コストがかかってしまう可能性があるからです。

こうした都市部には、地域手当はなくとも基本給自体が高く設定されている勤務先もあります。特に高収入を得たいと考えている看護師は、手当の有無だけでなく給料の総支給額や生活コストにも注意すべきでしょう。

また、民間病院では物価や生活水準だけでなく、アクセスしにくいなど地域特性を踏まえて地域手当を支給している場合もあります。このような場合、求人が集まりにくいなどの理由でこうした手当を支給している可能性もあります。なぜ地域手当がつくのか、その理由もはっきりさせておいた方が良いでしょう。

ただし、地域手当が支給される病院や施設では他の手当や福利厚生も手厚い場合が多いです。福利厚生の充実が重要だと考えるのであれば、地域手当のある・なしがひとつのバロメーターになるともいえるでしょう。