心臓血管外科は、良く聞く診療科ですが、血管外科はあまり耳慣れない診療科です。
大学病院や、専門医療機関、特定機能病院などでは疾患の専門化や細分化により、心臓血管外科と血管外科を分けている医療機関もあります。
血管外科では、腹部大動脈瘤、動脈閉塞症、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症、リンパ管疾患などを取り扱う診療科です。治療には、ステントを用いた治療や、血栓溶解療法、人工血管等を用いた治療がなされます。
この高度で専門的な治療に対し、対応する医療技術と、それを効果的に作用させる看護技術を看護師は求められます。
また、血管に病変を抱える為、治療後の日常生活を含めた指導教育も必要となります。
現状の回復から、今後まで、トータル的に観察関与する事が看護師に求められる技術や関わりとなります。
必要な看護技術・知識
血管病変の状態を知る為に、患者さんには画像検査や血管撮影が行われます。
その血管の狭窄度や状態を知ったり、血液検査でのコレステロールや脂質代謝などの異常が無いか等も調べられます。
多くの患者さんは、中高年となり、生活の質を上げる為、健康状態を低下させない為の治療となる場合が多くなります。
基本的には何でも自分で出来る患者さんが多く、自分で自分の事をしたい気持ちがある方が多いです。
しかし、治療上安静や制限を掛けられる事があり、適切な療養で安全に生活できるよう指導や支援を行う必要があります。
血管撮影の看護
造影剤を利用した血管内撮影の知識や技術を必要とします。
撮影自体、看護師は行いませんが、その前処置やその後の管理が必要となります。
造影剤に関する知識とその副作用に対する対処法、患者さんの前後の健康管理について知っておく必要があります。
血管内治療
ステントグラフト留置や、経費的血管形成術など、低侵襲治療が成されます。
しかし、経皮的に血管にアプローチするため、治療後の安静保持や病院が定めるマニュアルに沿った注意事項や安全対策を行う知識が必要です。
治療後の、圧迫止血による神経障害の出現や合併症に関する知識とその対処法を習得しておく必要があります。
モニタリング
血管外科では、手術や血管内治療などにより、全身管理を要するため、多くのモニターが装着されます。
血圧計や、心拍計、酸素飽和度などのモニタリングを行います。その数値から異常早期発見や急変予兆など、あらゆる危険性や状態把握が行えます。
各装着方法や機器管理、その数値が現す状態のアセスメントなどの知識が必要です。
セルフケアの介助
血管外科に入院する患者さんは、外科的療法により活動制限がなされる場合があります。
時に、自分の事が自分で出来る認知的、身体的状況であっても、治療のよる制限からセルフケアを人にゆだねなければなりません。
食事、排泄、清潔などを看護師がケアします。
特に、排泄や清潔ケアに関しては、羞恥心を伴う行為である為、その方の状態や要望に応じてテキパキと丁寧に、恥ずかしさを感じさせない技術と支援を行う必要があります。
また、患者さんに遠慮をさせない、こちらからの言葉かけなどのアプローチも必要です。
まとめ
血管外科では、特に生活習慣や日々の暮らし方で疾患の悪化や回復を左右される場合があります。
また、疾患の治療の中で継続的に受診し、療養生活を続けなければならない患者さんも多くいます。
しかし、手術や根本療法により回復を感じた患者さんは、時に療養を中断したり、正しい生活習慣を逸脱してしまう事があります。
その時の治療のみではなく、その方のその後の生活を見据えた知識と技術指導をが成される事も看護師の求められる事です。
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