身につくスキル
精神科、心療内科とも、「人の心」に関わる症状を扱う分野です。身体的な疾患の治療を行うほかの診療科とは違った、専門的なスキルを身につけることができます。身につくスキルとして、以下のようなものをあげることができます。
コミュニケーション能力
治療効果を上げるためには、患者さんとのコミュニケーションを欠かすことはできません。不安や心配を抱え、周りからの刺激に敏感になっている患者さんも少なくありません。相手のことを考え、相手のペースに合わせたコミュニケーションが必要です。治療が長期に渡ることも多く、患者さんとの関わりの中で、信頼関係を築いていけるのも、精神科・心療内科ならではです。
カウンセリング能力
日々の看護では、患者さんを受け止める「受容」が大切となってきます。治療としてのカウンセリングを行うのは医師や臨床心理士ですが、実際の看護や患者さんとのコミュニケーションには、カウンセリング能力が役立ちます。
薬に関する専門知識
精神科や心療内科において、薬の服用管理は、看護師の重要な業務になっています。精神に働きかける薬は、種類も多く、日進月歩をとげています。業務をとおして、薬に関する専門知識が身に付きます。
自分の感情をコントロールする能力
患者さんのなかには、「病気」のせいで、暴言をあびせたり、暴れてしまったりする人もいます。こうした患者さんを受け止め、適切な看護を行っていくためには、自分の感情をコントロールして、冷静・客観的に患者さんに接することが大切です。こうした対応をとおして、ナースとしてだけでなく、人間として成長することができるという看護師も少なくありません。
このほかにも、薬物治療では、注射や点滴も行われますので、基本的な看護スキルも身につけることができます。また、患者の様子から変化を見逃さない観察力や洞察力を養うことができます。
スキルアップ関連資格
精神科や心療内科における看護師と患者さんとの関わりは、治療を行っていく上で重要です。ナースの裁量に任される場面も多く、看護には、専門的な知識や技術を必要とします。
また、患者の自立を支援するための資格やカウンセリングの資格があると業務に活かすことができます。
精神科認定看護師
日本精神科看護技術協会が認定する資格です。精神看護の現場において、看護の質向上と、指導的役割を果たす看護師です。受験には、精神看護における5年以上の実務経験と所定の研修会や実習を経て認定試験に合格する必要があります。
精神看護専門看護師
日本看護協会が認定する資格です。精神看護現場において、質の高いケアを実践します。また一般病院での心のケアなど、広く保健医療福祉の発展に貢献することが求められます。
受験には、看護系の大学院で修士課程を修了し、かつ同協会の専門看護師境域課程基準所定の単位の取得が必要です。また5年以上の実務経験があり、そのうちの3年以上は、精神科における実務経験が必要となっています。
精神保健福祉士
国家資格です。精神疾患者の社会復帰のための相談に応じます。ソーシャルワーカーともいわれています。保健福祉系の大学で指定科目を履修し、卒業後、指定養成学校で学ぶ必要があります。その上で国家試験に合格すると、登録することができます。
臨床心理士、認定心理士
臨床心理士は、臨床心理学の知識や技術を用いて、カウンセリングなどにより、心の問題を、解決していこうとする専門家です。日本臨床心理士認定協会が認定する資格です。指定された大学院で修士号を取得し、筆記試験や面接試験に合格する必要があります。
認定心理士は、日本心理学会が認定する資格です。心理学の基礎知識や技術を修得していることを認めるものです。心理学における所定の単位を取得し、申請すると認定されます。
そのほかの資格
カウンセリングに関する資格は、さまざまなものがあります。メンタルケア心理士、行動療法士、児童福祉士、思春期保健相談士、家族相談士、精神対話士などです。
これらの中には、セミナーや通信教育で受講できるものもあります。近年では、あらゆる場面で、メンタルヘルスケアの重要性が高まってきています。また、高齢者の増加による認知症への対応など、精神科・心療内科の扱う対象や範囲も広まってきています。カウンセリングの知識や技術が求められる場面は、増えていくでしょう。
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