地域看護専門看護師とは
役割
地域看護専門看護師は産業保健や学校保健、保健行政、在宅ケアなど所属する地域において、その地域の人々のニーズに合った水準の高い看護を提供し、病気の予防や健康促進など、保健医療福祉の発展に貢献する役割が求められています。
特に最近では、少子高齢化や医療の偏在、地域の過疎化などによって適切な医療や在宅看護がより一層必要とされています。
そうした中で、地域の人々だけでなく行政や医療機関などと連携を取りながら、適切でより質の高い看護を提供しながら、看護師の実践モデルとして教育的機能を果たす役割も求められています。
似た資格として保健師が挙げられますが、保健師との違いは働く主な職場の違いです。各都道府県の保健所や市区町村の保健センターで働くのが保健師で、それ以外の病院や施設で働く地域医療の専門資格が、地域看護専門看護師です。
求められる専門知識や技術
地域看護専門看護師には幅広い医療分野について地域看護に携わる看護知識や技術が必要とされ、様々な症状について子どもから高齢者まで対応できるだけの知識や技術が必要です。
また、地域の人々とのふれあいや行政機関との連携など、企画力や行動力、そして信頼を得られる人間性など、様々な能力が求められます。一看護師ではなく、ケアコーディネーターや看護ジェネラリストとして、総合力が求められます。
地域看護専門看護師になるには
資格取得方法
地域看護専門看護師となるためには日本の看護師免許を有しており、免許取得後に実務経験が5年以上あり、そのうち3年以上は行政地域看護や在宅ケア看護、産業看護、学校看護などの地域看護分野での実務経験があることが必要です。この実務経験に関して、常勤・非常勤を問わず、また所属する機関や施設種別は問われません。
地域看護分野の実務研修の実績報告書として、直接的な看護の実践を2例、看護職を含むケア提供者に対するコンサルテーションを1例、ケアを円滑に行うための保健医療福祉関係者間のコーディネーションを1例、看護師、保健師などに対する教育を実施した教育活動を1例、記載して提出する必要があります。
その上で、看護系大学大学院修士課程もしくは関連領域の大学院修士課程において定められた科目単位を取得することと、教育課程で取り組んだ論文等の研究報告が必要です。
これら必要要件を満たし、地域看護専門看護師認定審査を受け、書類審査と筆記試験で合格すれば、地域看護専門看護師と認定されます。
資格保有者数
2014年2月19日現在、各専門看護師の認定機関である公益社団法人日本看護協会に登録されている地域看護専門看護師は25名と、非常に資格保有者数が少ない状態です。
難易度・合格率
地域看護専門看護師の書類審査では6つの機能について全審査委員の評価点数の平均が60点以上であること、また合計点は70%以上である420点以上が必要です。筆記試験は、200点満点中140点以上必要です。
とはいえ、現時点では目的意識の高い看護師が受験していることから、合格率は90%程度で推移しており、しっかりした教育課程と実務研修をこなすことができていれば、十分合格できる難易度の試験といえます。
地域看護専門看護師の資格取得後
活躍できる職場
地域看護専門看護師の能力を活かせる職場としては、都会の大病院より地方の中小規模の病院や、訪問看護や在宅ケアなどを行っているデイケアセンターや訪問看護ステーションなどの福祉施設があります。
勿論、大きな病院でも活躍はできますが、現在地域看護専門看護師に求められている役割の多くは、訪問看護や在宅ケアなど、医療が十分に行き届いてない地域での活躍や、高齢者や退院後間もない方々のケアに携わることです。
また、自治体や公的機関との連携も必要なことから、公的機関として地域看護について様々な役割をこなせる能力のある人材を必要とする保健所(ただし、保健師としての採用がほとんど)や公立病院なども役割を果たしやすい、活躍できる職場です。
将来性
現在その数が非常に少なく、だからこそ地域看護専門看護師の価値は高くなっています。高齢社会において在宅ケア分野の需要がますます伸びる中、様々な活躍ができる地域看護専門看護師は、これからの地域医療において必要不可欠な存在であるといえます。
特に最近では、医療機関において、即戦力だけでなく看護師の育成や指導ができる人材を多く必要としています。
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