在宅医療のニーズの高まりを感じる現在、訪問看護ステーションの開設を行う医療機関が増えています。

患者さんの自分らしい生活を実現するための在宅医療ですが、看護師は、そのお宅を訪問させていただき、その方の生活に入れていただきサービスを行います。

一人で訪問し、一人でケアを行う、誰の手助けも求められない状況での看護とは、どのような事が行われているのでしょうか。

また、人のお宅で看護を行うと言う事はどのようなことなのでしょうか。

訪問看護ステーションでの看護師に求められる知識や技術について理解しましょう。

必要な看護技術・知識

まず、訪問看護とは、医療機関内で仕事を行いません。そのサービスを求める患者さんの生活の場に訪問し、その方の求めるケアや、医師の指示される治療や検査等をお宅で行います。

ここでの医療とは、訪問先にあるものを使い、患者さんに合わせた医療を提供するという特徴があります。

物品一つをとっても、各家庭に準備出来るものは異なります。そのため、毎回、誰でも同じケアを行えないことが多いと言う事を理解しておく必要があります。

訪問看護の対象となる患者さんを理解する

訪問看護を行うということは、要介護状態が長く続き、自宅で療養したいというニーズがあったり、終末期と判断され最期の時間を自宅で迎えたい等と感じている患者さんが多いという認識が必要です。

また、このような方々は、病状や身体的、精神的にも脆弱化していることが多く、いつ、何時、何が起こってもおかしくないという認識を持って訪問する姿勢が大切です。

そのため、自分の行う行為が少しでも患者さんの負担とならないような配慮ある熟練したケア技術を持っておくべきとの認識も必要です。

清潔や安楽ケア

在宅医療を受ける患者さんは、セルフケアが自分で出来ないほどに弱ってしまっている患者さんばかりです。IVHやCVCなどを挿入したり、在宅酸素や人工呼吸器を利用している患者さんも多くいます。

清潔保持のケアを全介助で行う場合もあり、その行為が患者さんの刺激となり良くも悪くも働くことがあります。

よって、清潔保持という行為が患者さんにとって快適で、安心出来るケアとなるよう優しく、温かみあるケア、その方のペースに合わせたケアとなるよう技術を習得しておかなければなりません。

また、そのお宅により、準備出来る物品は異なる為、そのお宅にあるもので、そのからの快適を実現出来る創意工夫が出来る看護技術が求められます。

医師の指示を理解し、指示を実践できる技術

在宅医療の現場では、医師や他のサポートスタッフはいません。手掛かりは、医師の指示書のみです。書かれてある指示を理解し、正しく実践できる知識や技術を要します。

また、分からない時は、連絡を取り、正しくケアがなされるよう誠実で的確な判断が出来る看護師である事も必要なことです。

まず、訪問前の指示の確認と、準備物や訪問道具の確認はもちろんですが、もしかしたら、訪問先でトラブルが生じるかもしれないとも危機意識を持ってあらゆる予測できるリスクや混乱に対応できる準備、それに気付ける知識も必要です。

緊急時の対応技術

終末期、療養期の患者さんは、急変や急病、状態悪化をすることが念頭に無ければなりません。

緊急時の対応マニュアルを熟知し、その観察や判断力、報告経路や救急搬送手配等が円滑の行われるよう備えておく知識が必要です。

そして、万一の際に対応できる技術がキーポイントとなります。一人で訪問して、一人で対処しなければならない為、初期医療や、一時救命処置等の知識も必要です。

まとめ

人の家に入ってケアを行うという特殊環境での訪問看護は、看護師の配慮と「入らさせて貰っている」という気持ちが大切となります。

また、訪問看護ステーションが増えている現在、患者さんの選択肢は多く、自分のニーズに合わないステーションは受け入れられないと、別の事業所への変更が容易となっています。

患者さんに求められる医療を提供できる訪問看護師に慣れるよう、気持ちよい態度と、信頼される看護者である事も大切な心掛けです。